中道から秋波を送られている石破茂・前首相(時事通信フォト)
政界大再編に向けた動きが加速するなか、昨年10月に退陣した石破茂・前首相の動向が注目されている。自民党内では高市早苗・首相を批判する反主流派となり、勢力を拡大したい新党・中道改革連合側から秋波を送られる存在となっているからだ。
新党への合流について石破氏は1月20日、記者団に「自民党が常に中心にあらねばならない」という言い方で否定した。
中道改革連合に参加しないとしながらも、自民党こそ保守からリベラルまで多様な意見を認める「政界のセンター=保守中道」でなければならないという主張が垣間見える口ぶりだ。保守路線で突き進む高市首相への批判も込めたのだろう。
政界が高市vs反高市に大きく割れるなか、中道改革連合側が石破氏をスカウトするのは、そうした政治スタンスを「反高市」の看板のひとつにしたいからだ。
一方の自民党内では石破氏への“恨み”が積み重なってきた。
「石破さんは自民党内の反安倍派クーデターに失敗した政治家。安倍長期政権下で干されていたから、最大派閥の旧安倍派が数の力で党内の異論を封じ込めてきたと批判的で、総裁になると裏金問題のある旧安倍派議員を自民党非公認や比例との重複立候補不可にして次々に落選させた。結果、自民党は衆参とも過半数割れです」(自民党前職)
安倍路線を継承する高市首相が総選挙に勝利すれば、石破氏の“居場所”は自民党にはなくなるはずだ。実際、党内には「石破さんには新党に行ってもらったほうがわかりやすい」(保守派前職)との声まである。
ならばなぜ、石破氏は新党に加わって高市首相と正面から戦う道を選ぼうとしないのか。
これまで高市首相と激しくぶつかってきたのは公明党だ。公明党は高市氏が自民党総裁に就任すると、いきなり連立を離脱して心胆を寒からしめ、今回の高市首相の通常国会冒頭解散という奇襲には、「高市自民には1票もやらない」とばかりに新党結成でカウンターを浴びせた。新党計画を取材してきたジャーナリスト・鈴木哲夫氏が語る。
「公明党が新党結成、政界再編を視野に入れたのは石破内閣時代の2024年総選挙の後です。自民党大敗で自公は過半数割れし、小党乱立状態になった。単独政党として生き残るのは厳しいから再編に動いた。立憲民主党とは今春の新党結成に向けて準備を始めたが、冒頭解散の情報で公明党から『新党で行こう』と提案して短期での決断に至った」
