国内

富裕層海外移住志向高まる 日本の所得税55%だが香港は17%

 今年8月、エイベックス社長の松浦勝人氏がフェイスブックに〈富裕層は日本にいなくなっても仕方ない〉と書き込み話題となった。富裕層への課税強化に反発する内容だった。元国税調査官でエヌエムシイ税理士法人税務総合戦略室の玉川育生氏はこう語る。

「2015年に所得税の最高税率は50%から55%(地方税を含む)になり、相続税の最高税率も55%となります。一般的に、このような最高税率が適用されるのは会社の経営者が多いと言えます。

 彼らは会社の利益の約40%を法人税として納税した上に、自らの報酬の半分以上を所得税として納付し、最終的には虎の子の財産にまで高率の相続税が課されるので、不満が高まるのは当然です。

 たとえば香港の場合、所得税17%、法人税16.5%、相続税は0%ですので、富裕層の海外志向はかつてなく高まっている」

 昨年、光学ガラスメーカー最大手・HOYAの鈴木洋CEOがシンガポールに移住、経営拠点も移したのはその典型だ。

 税金の問題だけではない。デフレが続き、「安くてそこそこ質のいいもの」は普及したが、その分富裕層向けのサービスは未熟だ。経営コンサルタントの小林昇太郎氏(船井総合研究所)はこう言う。

「富裕層向けサービスでは、オーダーメイドの考え方を徹底させること、即ち究極的な『ワン・トゥー・ワン・サービス』が必要となり、こだわりが人一倍強い富裕層に徹底的に身を捧げられるかが問われる。日本企業では、これまでの社内の評価体制などから、顧客一人ひとりに尽くすサービスができるところが少ない」

※SAPIO2013年11月号

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