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週末「外ごはん」がブーム 「焼き」だけにこだわるなと識者

 一昔前は慣れた人がいないと実践しづらかったバーベキューだが、機材や食材が準備され、インストラクターが火起こしや焼き方などアドバイスをくれる手ぶら型や、仕事帰りでも味わえる都市型など種類も増えた。最近では、バーベキューだけでなく野外で食べることすべてを「外ごはん」と称し、少し特別なイベントとして楽しむ人が増えている。40代の会社員女性は、休日には家族で「外ごはん」を楽しむことが多いという。

「ベランダにテーブルを出すだけでも『外ごはん』といっています。5歳になったばかりの長女は好き嫌いが多くて食が細いのですが、外ごはんにすると同じメニューでもたくさん食べてくれるんです。完成品を出すより、海苔をまくだけでも料理っぽいことをするのを喜ぶので、パンと食材だけもっていって自分でサンドイッチをつくらせたら、嫌いなキュウリも食べちゃってました」

『週末ごはんフェス』(DU BOOKS)著者で外ごはんユニットとして活動する「うすい会」の井上雅央さんによれば、外ごはんは「自分らしくごはんが食べられる」空間をもっとも効果的に演出できる方法だという。

「青空や木陰の日差しは室内の光や照明と違い、ひとときも同じ表情はありません。鳥の声や風の音は最高のBGMです。そんな自然の中での食事はとても贅沢な気分にさせてくれます。レストランだと、まわりの会話や店員さんを気にしないとなりませんが、外で食べるごはんは気の合う仲間と気兼ねせず自分らしくごはんが食べられます」

 うすい会も、発足当時の6年前はまだ「外ごはん」という言葉は使っていなかった。当時は食品会社がおにぎり用食材に関連して「外ごはん」キャンペーンをしていたが、レストランでの外食など家庭以外での食事すべてを意味して使われることが多かった。野外フェスが増え、2010年の流行語大賞の候補に「山ガール」が選ばれるなどアウトドアがカジュアルになると、外ごはんは空の下で食べるごはんすべてを指すことばへと変化した。

 アウトドアの達人がいなければ敷居が高かった野外での食事は、手段も工程も簡単なレジャーとなった。アウトドア用品メーカーも、女性を意識してカラフルなデザインで室内でのパーティにも利用できるプチアウトドア向けアイテムを外ごはんシリーズとして発売している。外ごはんは今や、ワンピースやスカートでも楽しめる余暇の過ごし方のひとつだ。

 ところが、外ごはんの代表格、バーベキューにありがちな悩みのひとつに、食べはじめは楽しいけれども、味に飽きてしまい料理や食材を余らせてしまう点がある。そういった悩みが反映されてか、バーベキューについての今年9月に行われたアンケート調査では、実施する回数が「1年に1回未満」(43.9%)、「1年に1回程度」(22.7%)と予想以上に低い結果が出た(サミットネットスーパー調べ)。食べ終わるまで楽しい外ごはんを実践するには、どんなことを心がけたらよいだろうか?

「焼くことにこだわらず、肉、野菜、魚、煮込み料理などいろんなメニューを考えるとよいですよ。また、彩り豊かなデコレシピを用意すると楽しくなります。バーベキューではソースを何種類か用意すること。元は市販のソースでも、自分なりのアレンジを加えて味の種類を増やせば、飽きずに美味しく最後まで食べることができます。焼く順番も考えて、食材を事前に準備すると余らせません」(前出・「うすい会」井上さん)

 前述のアンケートによれば「事前準備が面倒だ」と答える人も多い(36.6%)。準備の手順がよくわからないことが理由と思われるが、実際にはどんなことをすればよいのだろうか?

「まずはどこで外ごはんをしたいのかを決めましょう。そこが火を使えるか、そうでないかによって用意するものや料理の幅が変わります。自分が好きな場所でわいわいと楽しむことが一番大切です。のんびりくつろげる椅子やシートを持参して自然を感じ、気持ちよい空気と一緒にごはんを食べると、どんな料理もおいしくなります。失敗を恐れずトライしてみてください。そしてゴミは必ず持ち帰りましょう」(前出・「うすい会」井上さん)

 秋晴れの気持ちよい青空と一緒に、子連れなら食育も兼ねて、大人なら日常から解放される外ごはんは、想像以上に贅沢な食事といえそうだ。

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