ビジネス

消費税増税後のGDP マイナス幅8.5%まで広がるとの予測も

 安倍政権は「税と社会保障の一体改革」を唱え、増税にまっしぐらだ。増税ほど政治家・官僚が嘘をつく政策はない。

 そもそも消費税が導入されたときの名分が「高齢化福祉対策のため」だったのだから、今さら全額社会保障に使うと言わなければならないこと自体、これまで嘘をついてきたことの告白に他ならない。

 財政が苦しいと言いながら経団連の求めるままに法人税を減税し、国土強靱化に名を借りた公共事業に巨額を投じる計画なのだから、誰のための増税かは明白である。

『SAPIO』(2013年12月号)では、<消費増税は日本を滅ぼす「シロアリノミクス」だ>と題して、安倍政権の“嘘”を暴く大特集を組んでいる。その中からジャーナリスト・武冨薫氏のレポートを紹介しよう。

 * * *
 内閣府は消費税増税のGDPへの影響は「マイナス1%程度」と楽観的な試算を公表し、国民生活に心配はないという姿勢だ。

 しかし、マクロ経済分析が専門の宍戸駿太郎・筑波大学名誉教授のシミュレーションによると、消費税増税が実施されると翌年から経済が縮小し始めて、5年後にはGDPに「マイナス5%」もの悪影響が出て、安倍政権が予定通り10%まで消費税を引き上げた場合、マイナス幅はさらに8.5%まで広がると予測している。

 そうしたシミュレーションは宍戸氏だけではなく、他の民間シンクタンクなどでも増税5年後のGDPに及ぼす影響を「マイナス4%~マイナス6%」と試算している。

 宍戸氏が指摘する。

「政府のシミュレーションは新興国の財政再建用に使われる計量モデルがベースで、成熟国にあてはめると誤った結果が出る。政府はあえてそれを使って『消費増税は景気に影響を及ぼさない』と国民に説明してきたのです」

 消費税アップに対し、世論調査では「7割が容認」しているとされた。しかしそれは、税率アップで喜ぶ者たちが嘘をつき続け、国民を騙してきた結果なのである。

※SAPIO2013年12月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
指定暴力団六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン
木瀬親方
木瀬親方が弟子の暴力問題の「2階級降格」で理事選への出馬が絶望的に 出羽海一門は候補者調整遅れていたが、元大関・栃東の玉ノ井親方が理事の有力候補に
NEWSポストセブン
和歌山県警(左、時事通信)幹部がソープランド「エンペラー」(右)を無料タカりか
《和歌山県警元幹部がソープ無料タカり》「身長155、バスト85以下の細身さんは余ってませんか?」摘発ちらつかせ執拗にLINE…摘発された経営者が怒りの告発「『いつでもあげられるからね』と脅された」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《趣里と三山凌輝の子供にも言及》「アカチャンホンポに行きました…」伊藤蘭がディナーショーで明かした母娘の現在「私たち夫婦もよりしっかり」
NEWSポストセブン
高石あかりを撮り下ろし&インタビュー
『ばけばけ』ヒロイン・高石あかり・撮り下ろし&インタビュー 「2人がどう結ばれ、『うらめしい。けど、すばらしい日々』を歩いていくのか。最後まで見守っていただけたら嬉しいです!」
週刊ポスト
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
《恐怖のマッサージルームと隠しカメラ》10代少女らが性的虐待にあった“悪魔の館”、寝室の天井に設置されていた小さなカメラ【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
寮内の暴力事案は裁判沙汰に
《広陵高校暴力問題》いまだ校長、前監督からの謝罪はなく被害生徒の父は「同じような事件の再発」を危惧 第三者委の調査はこれからで学校側は「個別の質問には対応しない」と回答
NEWSポストセブン
ドジャース・山本由伸投手(TikTokより)
《好みのタイプは年上モデル》ドジャース・山本由伸の多忙なオフに…Nikiとの関係は終了も現在も続く“友人関係”
NEWSポストセブン
親子4人死亡の3日後、”5人目の遺体”が別のマンションで発見された
《中堅ゼネコン勤務の“27歳交際相手”は牛刀で刺殺》「赤い軽自動車で出かけていた」親子4人死亡事件の母親がみせていた“不可解な行動” 「長男と口元がそっくりの美人なお母さん」
NEWSポストセブン
トランプ大統領もエスプタイン元被告との過去に親交があった1人(民主党より)
《電マ、ナースセットなど用途不明のグッズの数々》数千枚の写真が公開…10代女性らが被害に遭った“悪魔の館”で発見された数々の物品【エプスタイン事件】
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さん(時事通信フォト)
《ハワイで白黒ペアルック》「大谷翔平さんですか?」に真美子さんは“余裕の対応”…ファンが投稿した「ファミリーの仲睦まじい姿」
NEWSポストセブン