だから実際に死を選んだ人や、死のうとして死ねなかった人、さらには自身を含む〈残された者〉のことを末井氏は書き、関係者のインタビューも絡めて綴った全18章は、ブログ連載中から大きな反響を呼んだ。
「別に自殺を減らそうなんて大それた考えはなく、これを読んで自殺を思い留まる人が1人でもいればいいな、くらいの感じですね。例えば『樹海探索』の章に青木ヶ原事情に詳しい早野梓氏のインタビューを載せましたが、樹海に自殺しに来た人に冗談言ったら、相手がクスッと笑って、もう死ぬ気がなくなったと言って帰ったこともあるんです。
悩みに閉じこもる人の〈窓〉が、誰かの何気ない一言で開く場合もあるということです。だとすれば、死なないで欲しいという僕個人のお願いを書いたこの本だって、〈窓〉を開けることができるかもしれない」
【著者プロフィール】末井昭(すえい・あきら):1948年岡山県生まれ。高卒後、大阪、川崎で工員に。大手キャバレーの専属デザイナー等を経て、1977年セルフ出版(現・白夜書房)設立に参加。『ウイークエンドスーパー』『写真時代』等、伝説的雑誌を手がけ、1988年『パチンコ必勝ガイド』を創刊。
2012年3月取締役編集局長を辞し、10月退社。著書に『素敵なダイナマイトスキャンダル』『絶対毎日スエイ日記』等。平成歌謡バンド・ペーソスではサックス担当。180cm、75kg、O型。
(構成/橋本紀子)
※週刊ポスト2013年12月13日号