アメリカでは、医学に関する様々な見直しが展開されている。それは、「今まで必要と思い込んでいた医療行為の中で無駄なものを追放する」ことである。
たとえば、米国医療ディレクター協会は、「コレステロール値が低いほうが死亡率が高い」と報告している。
日本の高脂血症の推定患者数は3000万人、コレステロール低下剤の市場規模は年間約3000億円とされる。富山大学名誉教授で、日本脂質栄養学会理事の浜崎智仁氏がいう。
「低下剤は脳のコレステロールも下げてしまうから、記憶障害、睡眠障害、うつ症状、勃起障害などの副作用を起こす。
だから、私は70歳以下でもコレステロールを下げる必要はないと考えています。少なくとも高齢者への処方を止めれば、半分の1500億円は必要ない。
日本でも『コレステロールが高い方が長生きする』とする当学会と、『コレステロールは下げるべき』とする日本動脈硬化学会で議論になっています」
●企画・取材/室井一辰(医療経済ジャーナリスト)
※週刊ポスト2013年12月13日号