ビジネス

中国7%台の成長率 決して悲観するべき数字でないと専門家

 かつては8%以上が当たり前だった中国の経済成長率が、このところ7%台に低下している。この数字は中国経済の変調を示しているのだろうか。中国株に精通するT.Sチャイナ・リサーチ代表の田代尚機氏が解説する。

 * * *
 中国の2013年第3四半期(7~9月)の実質経済成長率は7.8%となり、2012年第2四半期以降、8%割れが続いている。第4四半期は7.8%を下回ると見られ、おそらく2014年も8%台に戻るのは難しく、7~7.5%のレンジで推移するのではないかと見ている。

 振り返れば、この2年間、中国経済は8%を下回る水準で安定成長を続けてきた。不動産バブルに加え、銀行を通さずに資金のやりとりをする「影の銀行」問題が浮上したこともあり、これまでのような高成長は望めなくなっている。

 もっとも不動産バブルは現在、辛うじてコントロールされており、影の銀行問題はすでに峠を越している。これらが成長を妨げる大きな原因となることはないだろう。

 そもそも7%成長は、長期的な構造改革を推し進めるために共産党が掲げた目標値にほかならない。

 いまや中国の労働人口は減少し始め、農村部の余剰人口を都市部に移転するだけで成長できた時代はとうに過ぎ去った。資本を投下して生産力を高めるよりも、生産過剰を解決すべく、共産党は中国経済を量から質の重視へと変えようと、この2年間を構造改革に費やしている。

 しかし、よく考えてほしい。好調とされる日本がせいぜい2~3%の成長であるのに対し、中国は鈍化したとはいえ、7%台の成長をキープしている。しかもそれは共産党がコントロールして速度を落とした結果にすぎない。決して悲観するような低い成長率ではない。

※マネーポスト2014年新春号

関連キーワード

関連記事

トピックス

アメリカの人気女優ジェナ・オルテガ(23)(時事通信フォト)
「幼い頃の自分が汚された画像が…」「勝手に広告として使われた」 米・人気女優が被害に遭った“ディープフェイク騒動”《「AIやで、きもすぎ」あいみょんも被害に苦言》
NEWSポストセブン
TikTokをはじめとしたSNSで生まれた「横揺れダンス」が流行中(TikTokより/右の写真はサンプルです)
「『外でやるな』と怒ったらマンションでドタバタ…」“横揺れダンス”ブームに小学校教員と保護者が本音《ピチピチパンツで飛び跳ねる》
NEWSポストセブン
復帰会見をおこなった美川憲一
《車イス姿でリハビリに励み…》歌手・美川憲一、直近で個人事務所の役員に招き入れていた「2人の男性」復帰会見で“終活”にも言及して
NEWSポストセブン
遠藤敬・維新国対委員長に公金還流疑惑(時事通信フォト)
公設秘書給与ピンハネ疑惑の維新・遠藤敬首相補佐官に“新たな疑惑” 秘書の実家の飲食店で「政治資金会食」、高額な上納寄附の“ご褒美”か
週刊ポスト
複座型ステルス戦闘機J-20 米国のF-35に対抗するために開発された。第5世代ステルス戦闘機(写真=Xinhua/ABACA/共同通信イメージズ)
【中国人民解放軍「最新兵器」】台湾侵攻や海上封鎖を想定した軍事演習も 就役直後の最新空母、ステルス戦闘機から“犬型ロボット”まで、性能を詳細に分析
週刊ポスト
高市早苗首相(時事通信フォト)
高市早苗首相の「官僚不信」と霞が関の警戒 総務大臣時代の次官更迭での「キツネ憑きのようで怖かった」の逸話から囁かれる懸念
週刊ポスト
喫煙所が撤去されてホッとしていたのだが(写真提供/イメージマート)
《規制強化の動き》加熱式タバコユーザーのマナー問題 注意しても「におわないからいいじゃん」と開き直る人、タクシー車内で喫煙する人も
NEWSポストセブン
山本由伸選手とモデルのNiki(Instagramより)
「球場では見かけなかった…」山本由伸と“熱愛説”のモデル・Niki、バースデーの席にうつりこんだ“別のスポーツ”の存在【インスタでは圧巻の美脚を披露】
NEWSポストセブン
モンゴル訪問時の写真をご覧になる天皇皇后両陛下(写真/宮内庁提供 ) 
【祝・62才】皇后・雅子さま、幸せあふれる誕生日 ご家族と愛犬が揃った記念写真ほか、気品に満ちたお姿で振り返るバースデー 
女性セブン
村上迦楼羅容疑者(27)のルーツは地元の不良グループだった(読者提供/本人SNS)
《型落ちレクサスと中古ブランドを自慢》トクリュウ指示役・村上迦楼羅(かるら)容疑者の悪事のルーツは「改造バイクに万引き、未成年飲酒…十数人の不良グループ」
NEWSポストセブン
現在は三児の母となり、昨年、8年ぶりに芸能活動に本格復帰した加藤あい
《現在は3児の母》加藤あいが振り返る「めまぐるしかった」CM女王時代 海外生活を経験して気付いた日本の魅力「子育てしやすい良い国です」ようやく手に入れた“心の余裕”
週刊ポスト
上原多香子の近影が友人らのSNSで投稿されていた(写真は本人のSNSより)
《茶髪で缶ビールを片手に》42歳となった上原多香子、沖縄移住から3年“活動休止状態”の現在「事務所のHPから個人のプロフィールは消えて…」
NEWSポストセブン