<そう語る森田の傍にはいつも師匠の岡本綾子がいた。岡本は日本女子ツアー通算44勝、米女子ツアー通算17勝、1987年には米ツアーの賞金女王を獲得した女子ゴルフ界の重鎮であり、近年は後進の育成に力を注いでいる。森田が岡本の門下生になったのは2009年秋。プレー技術のほか、精神面の指導が4年目にして花開いた>
岡本さんは私がまだ経験したことのないゴルフの世界を練習以外の場面でも話してくれます。「こう頑張ればあなたにもチャンスがある」と言ってくれるので自分の目指す未来をイメージしやすいんです。賞金女王も「もっと上手くなりたい。少しでも岡本さんに近づきたい」と思いながらプレーしたからこそ、獲得できたのだと思います。
試合中は孤独です。キャディさんがいるとは言え、最後は自分の力がすべて。いくら「いけるよ、大丈夫だよ」と言われても、自分が弱気になって「無理」と思えば良いプレーはできません。
それでも試合中は岡本さんにかけられた言葉を思い出して助けられています。例えばミスショットをした後、林の中や深いラフからどうやってピンに寄せるかという時。いつも言われる「人にできることは自分でもできる」という言葉で勇気を呼び起こします。
良いプレーが続いている時は「ふんどしを締め直せ」という言葉が頭に浮かびます。気を緩めるなという戒めですが、今年は何度も「ふんどし、ふんどし……」と心でつぶやきました(笑)。
そうした岡本さんの言葉の数々が自信につながっていると感じます。
※SAPIO2014年2月号