ビジネス

手軽で予想外に美味しいパックご飯 20年間で生産量が10倍増

炊きたてのような味が手軽に味わえる「パックご飯」

 日本人のコメ消費量は減り続けており、1人1年当たりの消費量をみると1970年には95.1キロだったのが、2012年には56.3キロまで下がった。ところが、電子レンジやお湯で温めるだけのパックご飯(無菌包装米飯)を食べる人は増えている。

 社団法人全国包装米飯協会の長田俊二さんによると「順調に生産量が増えていて、メーカーでは最近、製造ラインを増設したところも多いです」という。

 全国包装米飯協会が公表している食品需給研究センターの調査によると、パックご飯の生産量は1994年に約1万1千トンだったのが、2000年には約5万6千トン、2012年は約11万7千トンと約20年の間に10倍も増えている。2013年も10月までの集計になるが前年同期比で12.5%伸びており、「生産は今後も増え続ける」(前出・長田さん)のは間違いない。

 パックご飯が初めて登場したのは1980年ごろ。サトウ食品工業が「サトウのごはん」の名前で1988年に販売を開始すると、炊きたてご飯が手軽に食べられると人気商品になった。とはいえ、まだ独身で炊飯器もろくに使わない人のためのものという印象が強かった。

 1990年代には手軽さが世間に浸透し、家庭の主婦が忙しいときの非常食として手にし始めた。外食産業向け需要も高まり、エスビー食品や加ト吉(現テーブルマーク)など参入するメーカーが相次いだ。そして2000年代になると小容量パックなど商品が多様化し、今ではブランド米使用の高級品も登場している。

「通常の炊いたご飯とほとんど同じ味だということが広く知られるようになって、普段から利用される方が増えました。単身や高齢の世帯でご飯を炊く代わりの利用も多いそうです。1パック200グラムが標準的だったのですが、女性や子ども、高齢の方にあわせて少量パックなど製品の種類も増えています。麦ご飯やおこわなどもありますが、基本的に白いご飯が人気です」(前出・長田さん)

 少人数世帯での普段使いだけでなく、2011年3月の東日本大震災以降はパックご飯を常備する家庭が増えている。都内で父母と姉2人あわせて家族5人で暮らす大学生も「そういえば、震災のあとから家に必ずパックご飯が置いてあるようになりました」と振り返る。

「賞味期限が近くなると食卓に出てくることがありますが、パックご飯は予想外に美味しいんですよ。レトルトだとご飯がつぶれてしまって食感が変わるけれど、パックご飯はふっくらしていて炊きたてみたいな味なんです」

関連キーワード

関連記事

トピックス

2023年ドラフト1位で広島に入団した常廣羽也斗(時事通信)
《1単位とれずに痛恨の再留年》広島カープ・常廣羽也斗投手、現在も青山学院大学に在学中…球団も事実認める「本人にとっては重要なキャリア」とコメント
NEWSポストセブン
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《早穂夫人は広島への想いを投稿》前田健太投手、マイナー移籍にともない妻が現地視察「なかなか来ない場所なので」…夫婦がSNSで匂わせた「古巣への想い」
NEWSポストセブン
芸能生活20周年を迎えたタレントの鈴木あきえさん
《チア時代に甲子園アルプス席で母校を応援》鈴木あきえ、芸能生活21年で“1度だけ引退を考えた過去”「グラビア撮影のたびに水着の面積がちっちゃくなって…」
NEWSポストセブン
釜本邦茂さん
【追悼】釜本邦茂さんが語っていた“母への感謝” 「陸上の五輪候補選手だった母がサッカーを続けさせてくれた」
週刊ポスト
有田哲平がMCを務める『世界で一番怖い答え』(番組公式HPより)
《昭和には“夏の風物詩”》令和の今、テレビで“怖い話”が再燃する背景 ネットの怪談ブームが追い風か 
NEWSポストセブン
異物混入が発覚した来来亭(HP/Xより)
《ラーメンにウジ虫混入騒動》体重減少、誹謗中傷、害虫対策の徹底…誠実な店主が吐露する営業再開までの苦難の40日間「『頑張ってね』という言葉すら怖く感じた」
NEWSポストセブン
広島・広陵高校の中井哲之監督と会見を開いた堀正和校長
【「便器なめろ」の暴言も】広陵「暴力問題」で被害生徒の父が初告白「求めるのは中井監督と堀校長の謝罪、再発防止策」 監督の「対外試合がなくなってもいいんか?」発言を否定しない学校側報告書の存在も 広陵は「そうしたやりとりはなかった」と回答
NEWSポストセブン
イギリス出身のインフルエンサーであるボニー・ブルー(本人のインスタグラムより)
《過激すぎる》イギリス公共放送が制作した金髪美女インフルエンサー(26)の密着番組、スポンサーが異例の抗議「自社製品と関連づけられたくない」 
NEWSポストセブン
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《交通事故で骨折と顔の左側の歯が挫滅》重傷負ったタレントの大東めぐみ「レギュラーやCM失い仕事ほぼゼロに」後遺症で15年間運転できず
NEWSポストセブン
悠仁さまに関心を寄せるのは日本人だけではない(時事通信フォト)
〈悠仁親王の直接の先輩が質問に何でも答えます!〉中国SNSに現れた“筑波大の先輩”名乗る中国人留学生が「投稿全削除」のワケ《中国で炎上》
週刊ポスト
1990年代、多くの人気バラエティ番組で活躍していたタレント・大東めぐみさん
《事務所が猛反対もプロ野球選手と電撃結婚》元バラドルの大東めぐみ、人気絶頂で東京から大阪へ移住した理由「『最近はテレビに出ないね』とよく言われるのですが…全然平気」
NEWSポストセブン
「ビッグダディ」こと林下清志さん(60)
《借金で10年間消息不明の息子も》ビッグダディが明かす“4男5女と三つ子”の子供たちの現在「メイドカフェ店員」「コンビニ店長」「3児の母」番組終了から12年
NEWSポストセブン