国内

農薬混入事件容疑者 月収19万円、息子も同じ工場で勤務した

 アクリフーズ群馬工場で製造中の冷凍食品に農薬「マラチオン」を混入したとして、同社の契約社員・阿部利樹容疑者(49才)が偽計業務妨害容疑で逮捕された。2005年に同社に入社した阿部容疑者が、2012年の夏頃から頻繁にトラブルを起こすようになっていたという。

「冷凍食品の包装室の従業員との間でトラブルを起こしたことがあったんですが、その時に、会社から“同じことをしたら契約を更新しない”と通告されてしまったんです。阿部容疑者は翌日も怒りが収まらず、更衣室のロッカーを蹴り、“ふざけんなよ!”と大きな声で怒鳴っていたそうです」(社会部記者)

 彼を変えてしまったものは何だったのか。その理由のひとつに、会社の給与体系の変化があったと、阿部容疑者を知る工場関係者は言う。

「2012年4月にそれまでは年功序列型だった給与体系が、業績に応じて変動する能力型になった。それにともなって、家族手当や早出・遅出の手当も廃止されてしまったんです。会社は“周辺地域の同種産業と比較しても、平均的な水準”と説明していますが、多くの従業員がそれまでに比べて給与が下がったと不満を持っていました。阿部さんもそのひとりです」

 手当がなくなってしまった阿部容疑者の月収はおよそ19万円だったといわれている。大卒の平均初任給程度ではあるが、彼の場合、妻子を養う身であるうえ、多趣味で、さらには1000万円ほどの住宅ローンが残っている。仕事内容はこれまでと一切変わらないのだから、不満を抱くのは当然だろう。

 恨みは金銭的なものばかりではなかった。かつて同工場に勤務していた従業員によると、「契約社員は正社員から下に見られ、不満を抱いている人は多かった」という。

「実はこの工場で、阿部さんの息子さんも契約社員として働いていた時期があるんですよ。ただ息子さんは、“こんな給料じゃやっていけない”とすぐに辞めてしまった。父親の面子はまるつぶれだったと思います。だからこそ、正社員転換や給料アップへの思いは人一倍強かったかもしれません」(ある工場関係者)

 工場従業員約300人のうち時給制の契約社員は約200人で7割近くを占める。「職責を果たせば、正社員に転換されることもある」と会社から説明されていたというが、工場のリーダーや班長になることが前提条件にあり、正社員になれる人は年間わずか3人程度だという。

「昨年の夏のボーナス時に、自分より職歴の浅い同僚に金額を聞いたら、阿部さんは自分の方が低いことがわかったんです。ここ2年ほど給与が上がらないばかりか、リーダーや班長にも就いてなかったので、“やってられない”ってこぼしていましたよ」(前出・工場関係者)

※女性セブン2014年2月13日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン