ビジネス

体積4割縮小の卓上型食洗機が好調 前年比約145%の売り上げ

 様々な家事労働が機械にまかされるなか、皿洗いだけはなかなか機械化がすすまない。普及率がなかなか上がらないといわれるなか、前年度比率約145%と売り上げを伸ばす「プチ食洗」(パナソニック)のヒットの理由について、作家の山下柚実氏が迫った。

 * * *
 掃除機や洗濯機が無い家庭はほとんどない。けれど、食洗機の普及率はたったの3割。持っていない家庭が7割を占める。「お皿なんてわざわざ機械に洗ってもらわなくても」と思っている人はたしかに多いだろう。

 ところが今、卓上型食洗機に再び注目が集まっているというのだ。

「『プチ食洗』発売後の1年間で、当社の卓上型食洗機全体の売り上げが前年比約145%と伸びています。これまで使っていなかった層にも広がっています」とパナソニック広報グループは胸を張る。

 人はどんな時、皿洗いという仕事を機械に委ねる決断をするのだろうか。どんな動機で、心理的なバリアを超えていくのだろう。まだ3割ほどしかいない利用者が爆発的に増えていく臨界点とは、いったいどのタイミングなのか。
 
 市場拡大を牽引している人気商品『プチ食洗』の開発現場を訪ねて、商品企画の担当者を直撃した。
 
 いまや夫婦と単身者が世帯の半数を占める時代。そんなDINKS、小世帯にむけてパナソニックが新たに投入している白物家電が「プチ」シリーズだ。特徴は「プチ」という言葉が示すように「コンパクト化」しつつも、高機能であること。「プチ食洗」も3人分の食器洗い機として2012年2月に発売された。

「食洗機はポンプやモーターなどが必要な装置なので、どうしても大きくなりがち。しかし私たちはあえて、マンションの台所に無理なく置ける『水切りカゴサイズ』にこだわりました。従来の食洗機より体積にして4割小さくすることを目指したのです」

 4割の縮小。ポイントは、どのようにコンパクト化を達成するかだった。

「水切りカゴのサイズを前提に、基板からポンプ、ノズルまで全てゼロから設計し直しました。水流がどこを通り抜けて跳ね返るか、ノズルの穴、角度、水量などの微調整を繰り返し、小型でありつつ水圧を維持し洗浄力を落とさない形態を追求しました」

 たしかにこの食洗機、薄くて小さい。狭い庫内に、まるでパズルのように18点の食器を詰めて洗浄する。でも、こんなにぎっしり食器を並べたら、油汚れなんて本当に落ちるのでしょうか?

「いや、むしろ油汚れは得意なんですよ」と橋本氏は自信をのぞかせた。

「手洗いでは不可能な60度以上の高温で洗うために油が溶けて落ちやすい。高温なので除菌効果もあります。さらに、私たちは世界最大のシェアを持つドイツ食洗機洗剤メーカーと4年かけて専用洗剤を共同開発しました。食洗機に特化した成分を含んでいるために高い洗浄力を発揮します」

 知らなかった。専用の洗剤まで開発しているとは。

「酵素が入っています。タンパク質を分解し、ご飯のこびりつきも落とせます。また、漂白作用も含まれているので茶渋だってとれます。手洗いではできないことを実現できるんです」

そうなのか。手作業を機械に置き換えただけではなく、人ができない「別の」新しい価値を提供しているのか。 もう一つ強調したいのはエコナビ機能、と橋本氏。

「自動で汚れを見分けて節水・節電するので、水は手洗いの4分の1しか使わず、電気代も経済的です」

 狭い台所にどう置くのかという問題を解決し、「きれいに落ちるか」という疑問を解き、さらに除菌、漂白、エコ、経済性といった新しい価値を積み上げていく。細かい工夫と新機能の付加、ねばり腰のモノ作り。これこそ日本企業のお家芸だ。「満足度9割」の謎が解けてきた。  

※SAPIO2014年2月号

関連記事

トピックス

「講書始の儀」に初出席された悠仁さま(時事通信フォト)
《講書始の儀》悠仁さまが“綺麗な45度の一礼” 「紀子さまの憂慮もあって細かな準備があった」と皇室記者、新年祝賀の儀での秋篠宮さまの所作へのネット投稿も影響か
週刊ポスト
デビットベッカムと妻・ヴィクトリア(時事通信フォト)
〈ベッカム家が抱える“嫁姑問題”の現在〉長男の妻・ニコラがインスタから“ベッカム夫妻”の写真を全削除!「連絡は弁護士を通して」通達も
NEWSポストセブン
ニューヨーク市警に所属する新米女性警官が、会員制ポルノサイトにて、過激なランジェリーを身にまとった姿を投稿していたことが発覚した(Facebookより)
〈尻の割れ目に赤いTバックが…〉新米NY女性警官、“過激SNS”発覚の中身は?「完全に一線を超えている」
NEWSポストセブン
厳しい選挙が予想される現職大臣も(石原宏高・環境相/時事通信フォト)
《総選挙シミュレーション》公明票の動向がカギを握る首都決戦 現職大臣2人に落選危機、高市支持派アピールの丸川珠代氏は「夫とアベック復活」狙う
週刊ポスト
「ゼロ日」で59歳の男性と再婚したと報じられた坂口杏里さんだが…
《3年ぶり2度目のスピード離婚》坂口杏里さんの「ふっくら近影」に心配の声…「膝が痛くて…でもメンタルは安定してます」本人が明かした「59歳会社員との破局の背景」
NEWSポストセブン
笑いだけでなく「ふーん」「ええ!」「あー」といった声が人為的に追加される(イメージ)
《視聴者からクレームも》テレビ番組で多用される「声入れ」 若手スタッフに広がる危機感「時代遅れ」「視聴者をだましている感じがする」
NEWSポストセブン
新春恒例の「歌会始の儀」に出席された愛子さま(2026年1月14日、写真/時事通信フォト)
《ラオスご訪問を歌に》愛子さま、テーマ「明」に相応しいピンクのドレスで雅子さまとリンクコーデ 色やパールでフェミニンさとフォーマル感を演出
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から遺体が見つかった事件。逮捕された松倉俊彦容疑者(49)、被害者の工藤日菜野さん。(左・店舗のSNSより、右・知人提供)
「なんか臭くない?」「生ゴミを捨ててないからだよ」死体遺棄のバーで“明らかな異変”…松倉俊彦容疑者が見せた“不可解な動き”とは【日高・女性看護師死体遺棄】
NEWSポストセブン
カンボジア内務省は1月7日、米当局が“アジア最大の犯罪組織のひとつ”とする企業「プリンス・グループ」のチェン・ジー会長を逮捕したと発表した(時事通信=AFP)
「問題がある者を叩け。ただし殺すな」拷問に人身売買、ロマンス詐欺も… “アジア最大の在カンボジア犯罪組織”トップの中国人が「都内15億超えの高級マンション」に拠点
NEWSポストセブン
元旦に結婚を発表した長澤まさみ
《長澤まさみが過去のSNS全削除と長期休養への背景》長澤まさみ、主演映画の撮影を1年延ばして選んだ電撃婚 『SHOGUN』監督夫と“帯同同伴カナダ計画”
NEWSポストセブン
北海道日高町で店の壁の内側から20代の工藤日菜野さんの遺体が見つかり、松倉俊彦容疑者(49)が逮捕された(左・知人提供)
《日高・バーの壁に死体遺棄》「誰が見ても親密そうだった」「2人してよく酒を遅くまで飲んでいた」松倉俊彦容疑者(49)と“21歳年下”被害女性の関係とは
NEWSポストセブン
大分市立中学校の校内で生徒が暴行を受けている動画が、SNS上で拡散された(Xより)
《いじめ動画の保護者説明会“録音データ”を入手》「『先生に言ったら倍返しになるから言わないで』と…」子供の不安を涙ながらに訴える保護者の悲痛な声【大分市】
NEWSポストセブン