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上司が勝手に机の引き出しを開ける行為は法律的に許容範囲か

 最近は、セクハラやパワハラなど、職場における上司からの“いじめ”が社会問題としているが、上司が勝手に机の引き出しを開けるような行為は許されるのだろうか? 弁護士の竹下正己氏はこう回答している。

【質問】
 以前、会社で大事なUSBの紛失騒ぎがあり、焦った上司が私たちの机の中を開けて調べたことがありました。それ以降、定期的に上司は机の引き出しを開けます。引き出しの中には私物などが入っており、いくら机が会社の所有物であっても納得できません。このような行為は許されるものなのでしょうか。

【回答】
 調査の目的によって違います。業務のために提供されている机の引き出しは業務に関わりがない私物を置くスペースではありませんが、就業規則で禁じられていない限り、業務に支障がない範囲であれば、私物を置いても問題になることはないでしょう。

 引き出しの調査ですが、世間一般の普通の人の感受性を基準に考えれば、机の中を他人に見られることは、不安に感じたり、精神的に苦痛を感じることです。したがって、正当な理由なく、好奇心や嫌がらせ目的で、開けて中を見ることはプライバシー侵害として不法行為になるでしょう。

 過去に最高裁は、売り上げの不正隠匿の疑いがあったことからなされた所持品検査について

(1)就業規則その他、明示の根拠に基づいて行なわれる場合で
(2)必要とする合理的理由に基づいて
(3)一般的に妥当な方法と程度で
(4)制度として職場で画一的に実施される場合には、

 従業員は検査を受忍する義務があると判断し、脱靴を拒否した従業員の懲戒解雇を有効と認めました。

 机は会社の管理下にありますから、衣服まで調べる所持品検査ほど厳格さは要求されないと思います。そこで会社の業務のために必要がある場合には、従業員の承諾が無くても開けることができる場合もあるでしょう。

 重要なUSBで、断わっている余裕もなかった場合には、紛れ込んだ可能性がある引き出しを探すことは許されたと思います。しかしその後、合理的な理由がないのに承諾なく開けて、中を探ることは問題ありといえます。

 この他、会社のコンピュータを使った業務外のメールやインターネットへのアクセスが調査できるかも問題にされています。これまで常識的に許容されていた私用電話の程度を超えるような私的利用は控えるのが無難です。

※週刊ポスト2014年2月7日号

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