北京五輪では1000mの金を含む4個のメダルを獲得した高木美帆(Getty Images)
日本代表が冬季五輪で初めてメダルを獲得したのは、1956年のコルティナ・ダンペッツォ五輪、アルペンスキー男子回転の猪谷千春による銀メダルだった。70年の時を超え、2026年2月6日から22日まで、同じイタリアのミラノ・コルティナで冬季五輪が開催される。長野五輪日本代表の荻原次晴氏に、メダル有力選手たちについて聞いた。
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オリンピックには魔物が棲んでいる──。
何度経験しても他の大会とは違う緊張感が漂う五輪の見どころのひとつは、前回大会でメダルを獲得した選手の連続チャレンジ。なかでも3つ目の金メダルを狙うスピードスケート女子の高木美帆選手は雑念を振り払い、ひとつひとつのレースに集中して氷を踏みしめるように滑れば「魔物」に打ち勝てるはずです。
ノルディック複合で5大会連続のメダルを目指す渡部暁斗選手は今大会での現役引退を表明しました。次回五輪で消滅が噂されている競技なので、ビッグゲームに強い渡部選手には集大成の舞台で「この競技はやはり外せない」と世界に思わせる活躍を期待します。
若者に人気のスノーボードは連覇を目指す男子ハーフパイプの平野歩夢選手、2大会連続の表彰台を狙う女子ビッグエアの村瀬心椛選手が人間離れした超大技で観衆を魅了するでしょう。
競技の変化も見逃せません。IOC(国際オリンピック委員会)はショート動画を好む若者向けに競技の短縮化を進め、スキージャンプ団体は4人から2人1組になりました。岡部・斎藤・原田・船木でつないだ長野五輪を知る世代には寂しい限りですが、ジャンプ男子はエースの小林陵侑選手に加えて二階堂蓮選手が急成長し、チーム戦での表彰台が見えてきました。女子は五輪の魔物を知る高梨沙羅選手とともに前回五輪を大怪我で断念した丸山希選手が絶好調で、守りの姿勢に入らなければメダル獲得が見えます。
新種目のスキーモ(山岳スキー)は登山とスキーが融合したスポーツ。ザックを背負った選手が雪山の急斜面を登り、トランジットエリアでスキー板の滑り止めシートを外してゴールまで滑り降ります。欧州で大人気ですが、国内は競技人口が少なく日本勢は出場権を逃しました。次回五輪はこの競技も強いであろう渡部暁斗選手の出場を秘かに願っています(笑)。
冬季五輪の醍醐味は非日常の空間の美しさです。ダウンヒルは時速130kmで滑降し、ジャンプは150mをかっ飛び、スノボやモーグルは魔法のように回転する。雪と氷の上だからできる夢のような世界が広がります。
今回の舞台はミラノ・コルティナ。ウインタースポーツの本場であるイタリアに20年ぶりに冬季五輪が帰ってきます。イタリアの美しい街並みとともに、現地の熱狂を楽しみたいですね。
