8月1日付で第一報が出たあと、翌2日付に、〈安倍政権、麻生ショック 「国際社会、敵に」収束急ぐ ナチス発言〉との記事が載った。この記事では、米国のユダヤ人人権団体の副代表やドイツのナチス関連展示館の館長、ベルリン自由大の教授らに取材して麻生批判発言を紹介している。そして、こう述べる。
〈米国ではホワイトハウスは今のところ沈黙を守り、メディアの報道も多いとは言えない。だが、ユダヤ人社会を中心に経緯説明や謝罪を求める声がさらに広がれば、報道のトーンが変わってくる可能性もある〉
これは、朝日自身が火をつけて回り、報道のトーンを変えようとしている何よりの証拠だろう。この記事には不可解な記述がもう一つある。
〈韓国メディアも麻生氏の過去の失言をこぞって取り上げ、4月の靖国神社参拝を改めて批判している。韓国政府関係者は「(中略)改憲への牽制も含めて、厳しく指摘せざるを得ない」と話す〉
靖国参拝はここでは関係ないし、そもそも日本の憲法改正も韓国には関係ない。にもかかわらず、韓国にまでご注進しているのだ。
海外では朝日は日本のもっとも権威ある新聞と信じられているので、こういった朝日の一連の報道は、海外紙に引用され、広まっていく。まずAP通信が〈朝日新聞によると〉と前置きして、〈日本は憲法改正でナチスの手口に学べと大臣が発言した〉との記事を配信。
それが英ガーディアン紙などに掲載されていった。さらに米経済紙IBタイムズニュースや、米CNNのニュースまでも次々に朝日を引用する形で、麻生発言を報じていく。世界中にどんどん飛び火していく構造ができあがったのだ。
※週刊ポスト2014年3月14日号