週刊ポストの名物企画でもあった「ONK座談会」2003年開催時のスリーショット(撮影/山崎力夫)
「ミスタープロ野球」長嶋茂雄さんが亡くなった。ミスターが、通算868本塁打の世界記録を持つ王貞治氏、史上最多の通算400勝をあげた“カネやん”こと金田正一氏との3人で丁々発止のやり取りを繰り広げてきた週刊ポストの新年号名物企画が『名球会ONK座談会』だ。長嶋さんを偲んで再録する。
「カネさん、それ言っちゃダメ!」
王氏は1988年オフに巨人監督を退任。そして1993年には「第二次長嶋政権」がスタートする。
●1994年/長嶋巨人1年目は3位に。オフに中日から落合博満を補強した
金田:要するに、仲良しクラブのムードになってる巨人に(落合加入で)カツを入れると。
長嶋:いいこといいますよね……でも、そこまではいってませんよ(笑い)。
本誌:毒をもって毒を制す?
長嶋:そう、そう……いやいや、毒なんていってないよ(笑い)。個性をもっているといっているんですよ。教科書どおりのブックプレーヤー(?)じゃそんなこと難しいですよね。それに、張本(勲)の時のジャイアンツ内部の反発はこんなものではなかったですしね。
金田:落合が張本のような状況判断ができるか、ということじゃな。
長嶋:そりゃ、あれだけの選手なんですよ。できますとも。
本誌:うちは落合問題の記事で「巨人の意識改革者になるか、獅子身中の虫になるのか」というタイトルをつけたんですが。
長嶋:あーいいとこ見てるね。そりゃ間違いじゃない。間違いじゃない。
本誌:それじゃ落合には3割、30本を望んでいない?
長嶋:そんなの望んでいませんよ。カネさんが来た時のようにチームに活性化を促してもらいたいんですよ。
金田:シゲとしては、それに賭けるしかないのか。
長嶋:ま、そういうことです。カネさんが入ったのも賭けだし、張本を入れたのも賭けだった。
(中略)
長嶋:どう転ぶかわからないけど、ボクは落合を獲るのがいいと判断した。
金田:落合が巨人で死に花を咲かせてくれればいいわけじゃ。
王:カネさん、落合を殺さないでよ(笑い)。
ONがともに現役監督の時はやり取りがヒートアップしたことも。