老後生活の大きな足枷になる住まいの費用の悩み。持ち家でも生活苦に陥るシニア世代も多いなかで、仮に100歳まで生きることを想定すると、状況はさらに厳しくなる。幸せな最期を迎えるための「終の棲家」は、どう選べばいいのだろうか。
いまあなたが住んでいる家に、余っている部屋はないだろうか。「子供が泊まりに来る時のため」などといって、数か月に1度しか使わない部屋がいくつもあるなら、家を持ち続けることを再考したほうがいい。
子供が独立するなどして家族構成が変化したのに、広い家に住み続けていると、維持費が余計にかかる。夫婦2人や、配偶者に先立たれての1人暮らしならば、掃除や手入れなど、広い家を管理するのも一苦労だ。
そうであれば、思い切って広い家を売ってしまい、今の生活規模に見合った小さな家に住み替え、ダウンサイジングする手がある。売却額より安い物件を買えば、差額を老後資金に回すことができる。
引っ越し先は新築にこだわらずに中古物件も検討すれば、手元に残る資金も大きくなる。今のシニア世代がマイホーム購入を検討した数十年前に比べ、現在は中古物件市場も整備され、流通量もはるかに多くなっている。
また、多くの人にとって住宅の売却は初めての経験となるだろうが、できるだけ高値で売りたい。それには、売買の仲介をする不動産業者選びが鍵となる。「不動産仲介透明化フォーラム」の風戸裕樹・代表はこうアドバイスする。
「どの仲介業者を選ぶかで、成約金額に1割以上の違いが出ることはザラにある。額が数千万円に上る取引の場合、1割でも数百万円の違いになります。
まず複数の仲介業者に査定を依頼することは欠かせません。その上で、業者が現在の市場動向を的確に把握しているか、インターネットやチラシで幅広く宣伝するなど売り主の立場に立った販売戦略を講じてくれているかをチェックして業者を選ぶことが重要です」
※週刊ポスト2014年3月14日号