その一方で、爽太が恋をする相手、天然系小悪魔の紗絵子を演じる石原さとみが、またまた上手。紗絵子は男をもて遊んでいるようでいて、自分の思いがどこにあるかわからない。夫のことも愛せないし、居場所も無い。浮遊感に不安さえ覚えている。それが漂ってくるような、複雑さを見せてくれる。

 登場人物の美男美女がみな、思いを遂げられないまま自己言及を繰りかえす、不思議な切なさとリアリティのあるドラマに仕上がっています。

 月9という枠は、形を変えキャストや筋を替えながらも、不完全な人間の切ない姿を浮き彫りにしてきたんだな、と気づきました。

 そんな貴重なアイデンティティを、簡単に手放していいのか月9。

 ちなみに「恋愛」とは。国語辞典・新明解を引くとこう定義されています。「特定の異性に特別の愛情をいだいて、二人だけで一緒に居たい、出来るなら合体したいという気持を持ちながら、それが、常にはかなえられないで、ひどく心を苦しめる・(まれにかなえられて歓喜する)状態」(『新明解国語辞典』第4版)

 人間の本質です。

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