芸能

制約や自主規制少ないネット番組 バラエティ制作で真価発揮

 今のテレビはつまらない――たびたび耳にする言葉だが、テレビ番組のどんな点に物足りなさを感じているのだろうか。「体を張った、本気のお笑いが見られなくなったからですよ!」と力説するのは、1990年代半ばまで定期的に放送され、2000年代に一度だけ復活した『お笑いウルトラクイズ』をこよなく愛する30代男性会社員だ。

「クイズに挑戦する芸人たちが、正解だろうが不正解だろうが笑いをとるために爆破されたり、水中に沈む車から脱出したり、本物のワニに触ったりする。お腹がよじれるほど笑いましたね。でも、いまテレビで放送しているバラエティ番組は、どれも座って話しているものばかり。山に登ったり弾丸旅行をしたり、感動させるための無理はしているけれど、俺は笑いたいんですよ!」

 不満を募らせているのは一視聴者だけではない。バラエティ番組も担当する構成作家によれば、地上波テレビでバラエティ番組制作に関わると、やりきれない思いをすることが少なくないという。

「とにかく今は、クレームをつけられたくない一心で無難なネタばかりになっています。特に放送倫理・番組向上機構(BPO)の審議入りになるのが一番怖い。だからといって、バラエティがトーク番組ばかりになるのもおかしな話です。

 危険だと思わせるもの、食品を食べる以外で使用するものはとにかく避けています。避けられない場合は『安全性には十分に配慮しています』『番組終了後にスタッフがおいしく食べました』という視聴者がしらけるようなテロップを入れなきゃいけない。お笑いの人気が高まり芸人のレベルは高くなっているのに、その力を発揮できない場面がけっこうあるし、僕らも消化不良。だから制約が少ないライブやネットで思いっきり発散するんです」

 もちろん、トークバラエティも面白い。だが、やはり体を張ったダイナミックな面白さを味わいたい。地上波のテレビ番組では味わえなくなった楽しさは、いま、どこで見られるのか。

 まず考えられる場所は、お笑いライブの会場だろう。だが、ライブは必ずしも足を運べる場所で開催されるわけではない。もうひとつ、オリジナルのDVDという選択肢もあるが、この場合は内容を確認できないまま、それなりの支出をする勇気がいる。そして最後にあげるのは、観る側にとっても簡単なインターネット上の動画がある。

 インターネット動画で見るバラエティというと、以前は少人数でこぢんまりとネタを披露するものが多かったが、最近は、地上波のバラエティ番組と同じようにチームで制作しているものもあり、見応えがあるものも増えつつある。

 たとえば「PS3『魁!!男塾 』発売記念!~ 日本よ、これが芸人魂である!~」では熱湯風呂、ワサビ相撲、火だるまネタなど地上波だったらクレームが多数寄せられそうなものに芸人たちがチャレンジしている。『お笑いウルトラクイズ』を愛する前出の30代男性も、この動画は大変気に入って何度も繰り返して見ている。

「この動画に出演しているなかでも、安田大サーカスのクロちゃんはテレビで見るよりも面白いくらいですよ。頭にワサビをべったり塗られたときとか、火だるまになって悲鳴を上げてるクロちゃんの顔を思い出すと、今でも笑いがこみあげます(笑)」

 これからも、大胆な挑戦を続けるネットのバラエティ番組には期待ができそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

中村佳敬容疑者が寵愛していた元社員の秋元宙美(左)、佐武敬子(中央)。同じく社員の鍵井チエ(右)
100億円集金の裏で超エリート保険マンを「神」と崇めた女性幹部2人は「タワマンあてがわれた愛人」警視庁が無登録営業で逮捕 有名企業会長も落ちた「胸を露出し体をすり寄せ……」“夜の営業”手法
NEWSポストセブン
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
愛子さま、初の単独公務は『源氏物語』の特別展 「造詣が深く鋭い質問もありドキっとしました」と担当者も驚き
女性セブン
“くわまん”こと桑野信義さん
《大腸がん闘病の桑野信義》「なんでケツの穴を他人に診せなきゃいけないんだ!」戻れぬ3年前の後悔「もっと生きたい」
NEWSポストセブン
中森明菜
中森明菜、6年半の沈黙を破るファンイベントは「1公演7万8430円」 会場として有力視されるジャズクラブは近藤真彦と因縁
女性セブン
食品偽装が告発された周富輝氏
『料理の鉄人』で名を馳せた中華料理店で10年以上にわたる食品偽装が発覚「蟹の玉子」には鶏卵を使い「うづらの挽肉」は豚肉を代用……元従業員が告発した調理場の実態
NEWSポストセブン
報道陣の問いかけには無言を貫いた水原被告(時事通信フォト)
《2021年に悪事が集中》水原一平「大谷翔平が大幅昇給したタイミングで“闇堕ち”」の新疑惑 エンゼルス入団当初から狙っていた「相棒のドル箱口座」
NEWSポストセブン
昨年9月にはマスクを外した素顔を公開
【恩讐を越えて…】KEIKO、裏切りを重ねた元夫・小室哲哉にラジオで突然の“ラブコール” globe再始動に膨らむ期待
女性セブン
稽古まわし姿で土俵に上がる宮城野親方(時事通信フォト)
尾車親方の“電撃退職”で“元横綱・白鵬”宮城野親方の早期復帰が浮上 稽古まわし姿で土俵に立ち続けるその心中は
週刊ポスト
大谷翔平の妻・真美子さんの役目とは
《大谷翔平の巨額通帳管理》重大任務が託されるのは真美子夫人か 日本人メジャーリーガーでは“妻が管理”のケースが多数
女性セブン
17歳差婚を発表した高橋(左、共同通信)と飯豊(右、本人instagramより)
《17歳差婚の決め手》高橋一生「浪費癖ある母親」「複雑な家庭環境」乗り越え惹かれた飯豊まりえの「自分軸の生き方」
NEWSポストセブン
店を出て染谷と話し込む山崎
【映画『陰陽師0』打ち上げ】山崎賢人、染谷将太、奈緒らが西麻布の韓国料理店に集結 染谷の妻・菊地凛子も同席
女性セブン
殺人未遂の現行犯で逮捕された和久井学容疑者
【新宿タワマン刺殺】ストーカー・和久井学容疑者は 25歳被害女性の「ライブ配信」を監視していたのか
週刊ポスト