ビジネス

市場規模の小さい外食カレー 値段1000円が珍しくない理由

 外食産業での「カレー」の存在感は意外なほど小さい。カレー専門ショップの市場規模は約890億円、店舗数は約1500(2013年見込み、富士経済調べ)。焼肉店(市場規模約5200億円、約1万6000店)、宅配ピザ店(同約1260億円、約4000店)などと比べると明らかに見劣りする。

 チェーン店の状況を見ても「カレーハウス CoCo壱番屋」(1267店舗、2014年1月末時点)以外は目立った存在がほとんどなく、近年店舗数を増やして注目される業界2位の「ゴーゴーカレー」でも100店舗に満たない。この2つのチェーンで専門店の80%以上を占めることから考えれば、独立系の店も多くはないことになる。

 誰でも作れる国民食ではあるが、専門店が簡単に成功するほどカレーの世界は甘くはないのだ。カレー総合研究所の井上岳久・代表が解説する。

「カレー専門店が他の飲食店と違うのは、ランチで勝負しなければいけない点です。うまくいっているカレー店のほとんどはランチタイムの繁盛で利益を出していて、多い店では昼間に10回転以上しています。しかしそうした繁盛店でも15~17時の時間帯は客が少ないし、お酒との相性がよくないのでディナーは1回転程度。客単価も上げにくい」

 牛丼やラーメンと違って夜食にする人も少ないため、ランチ以外の回転率を他の業態並みに上げることは難しい。それでいて人件費や家賃は同じようにかかるため、食材原価率は低く抑えられがちだ。

 本誌2013年11月号では1杯280円の牛丼の原価を約175円(原価率約63%)と報じたが、「カレーの場合は高くても30%、基本的には食材原価を20~25%に抑えないと成り立たない」(井上氏)という。仮に牛丼の原価と同じ175円だとすると700~900円程度の値段をつけなければいけないことになる。

 そもそもカレーの原価は店によって大きく異なる。ライスの原価は一人前200gで50円前後だが、肝心のルーにどれだけ手をかけるかで原価はかなり変わる。

 最も安く済ませる方法は業務用レトルトルーを使うことで、一人前約60円で調達できる。ライスと合わせても原価は100円程度。「単に温めただけだと独特の加熱臭(レトルト臭)が消えないので鍋で温め直し、市販のカレー粉を少しまぶして臭いを消す。喫茶店や定食屋の安価なカレーはそうした作り方が多い」(業界関係者)という。業務用の固形カレールーには1kg480円(50~55人前)といったものもあり、一人前の原価は約10円。「大ぶりな肉や野菜などを入れても原価は100円程度」(同前)となる。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン