ビジネス

マック原田氏がベネッセへ「プロ経営者の真価問われる」の声

昨年8月に日本マクドナルドの社長を下りた原田泳幸氏(写真左)

 欧米では業界を問わず、経営者(CEO)が次々と有名企業を渡り歩くことは珍しくない。「雇われ社長」といえば聞こえは悪いが、スカウトされた各企業で業績を立て直す専門職、いわば「プロ経営者」としての重責を担っている。

 日本でプロ経営者を自認している人は、この人ぐらいだろうか。日本マクドナルドホールディングス(HD)会長の原田泳幸氏(65)である。

 2004年にアップル日本法人(現アップルジャパン)社長から2期連続の赤字に喘いでいた日本マクドナルド社長に転じた原田氏。その後7年連続で既存店売上高プラスという離れ業をやってのけ、その功績は“原田マジック”とも称された。

 だが、ここにきて原田氏の神通力が通用しなくなっていたのは、当サイトでも既報どおり。日本マクドナルドHDの2013年12月期の決算は、売上高は前年比11.6%減の2604億円、営業利益にいたっては53.5%減の115億円と低迷している。

『勝ち続ける経営』(朝日新聞出版)という著書まである原田氏が勝てなくなったのはなぜなのか。経済誌『月刊BOSS』編集委員の河野圭祐氏が分析する。

「めまぐるしく変わる事業環境や消費者ニーズに対応してきた“原田コンピュータ”の精度が鈍ったことが挙げられます。東日本大震災で中食にシフトした消費者、コンビニ台頭で注目される女性やシニア層を取り込む戦略、メニュー開発がことごとく裏目に出てしまいました。

 また、景気回復過程で原田さんは『アベノミクス効果で外食産業に変化(ファストフード離れ)が起きているとは思えない』と語っていたのに、その後『ボーナスの回数が増えたからマックに行く回数を増やすとは考えにくい』と高額消費の現象を認める発言をするなど、得意のマーケティング力にもブレが生じていました」(河野氏)

「マックでの賞味期限は切れた」(業界関係者)と揶揄される原田氏は、すでに昨年8月より事業会社の社長職をサラ・カサノバ氏に譲り、自身は持ち株会社の会長に退いていた。日本経済新聞のインタビューで、<経営者として1年も“浪人”する気はない>と語るなど、次なる新天地での経営にも意欲を見せていた。

 そして、原田マジック第2幕の舞台は、通信教育、語学、介護など幅広い事業領域を誇るベネッセHDへと移る。昨年6月より同社の社外取締役を務めていた原田氏だが、今年の株主総会後(6月21日付)に会長兼社長として経営全般を掌握することになりそうだ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン