国内

東京都の天下り問題は国より深刻 行き先は外郭団体が過半数

 規制の権限をバックに民間企業や所管の団体にOBを再就職させ、見返りに業界の既得権が守られる天下り問題。そうした構図を壊すためにできたのが国家公務員への「天下り規制」のはずだが、役所は自分たちを縛る規制についてはあの手この手で骨抜きにしてきた。さらに問題なのが、地方の役人の天下りだ。「政策工房」社長の原英史氏が、注目度が低いのをいいことに、今も天下りし放題の状況が続く地方の役人の天下りについて解説する。

 * * *
 2月の東京都知事選は政策論争が盛り上がることなく終わり、舛添要一・新知事が選出された。本来、選挙戦の過程で「国以上の伏魔殿」とされるこれまでの都政の暗部にどう斬り込み、無駄や不合理をなくしていけるかが議論されるべきだった。

 伏魔殿の一端を明らかにするため、筆者が理事を務めるNPO法人万年野党では東京都の天下り問題について調査した。例えば、お台場のビル管理やゆりかもめ運営などを行なう臨海ホールディングスグループには過去4年間に課長級以上だけでも25人の元職員が再就職しているなどの実態が判明した。

 選挙期間中、主要候補に対してそうした問題にどう取り組むのかを問う公開質問状を出したが、残念ながら舛添氏を含め満足な答えは一つも返ってこなかった。

 データを見比べるとよくわかるが、東京都の天下り問題は国より深刻だ。国の過去1年間の課長級以上の再就職データ(2013年9月公表)を見ると、計1122人の再就職先は営利法人(324人)、自営業(269人)が多く、独立行政法人(11人)、特殊法人(7人)、認可法人(1人)などはごく少ない。

 それに対して東京都の過去1年間の課長級以上の再就職データ(2013年11月公表)を見ると、計160人のうち公益団体等39人、監理団体32人、報告団体等16人と、いわゆる外郭団体で過半数を占める。「退職したら外郭団体へ天下り」という昔ながらの構図そのものだ。

※SAPIO2014年4月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

元通訳の水谷氏には追起訴の可能性も出てきた
【明らかになった水原一平容疑者の手口】大谷翔平の口座を第三者の目が及ばないように工作か 仲介した仕事でのピンハネ疑惑も
女性セブン
文房具店「Paper Plant」内で取材を受けてくれたフリーディアさん
《タレント・元こずえ鈴が華麗なる転身》LA在住「ドジャー・スタジアム」近隣でショップ経営「大谷選手の入団後はお客さんがたくさん来るようになりました」
NEWSポストセブン
日本テレビの杉野真実アナウンサー(本人のインスタグラムより)
【凄いリップサービス】森喜朗元総理が日テレ人気女子アナの結婚披露宴で大放言「ずいぶん政治家も紹介した」
NEWSポストセブン
歌う中森明菜
《独占告白》中森明菜と“36年絶縁”の実兄が語る「家族断絶」とエール、「いまこそ伝えたいことが山ほどある」
女性セブン
伊勢ヶ濱部屋に転籍した元白鵬の宮城野親方
元・白鵬の宮城野部屋を伊勢ヶ濱部屋が“吸収”で何が起きる? 二子山部屋の元おかみ・藤田紀子さんが語る「ちゃんこ」「力士が寝る場所」の意外な変化
NEWSポストセブン
大谷翔平と妻の真美子さん(時事通信フォト、ドジャースのインスタグラムより)
《真美子さんの献身》大谷翔平が進めていた「水原離れ」 描いていた“新生活”と変化したファッションセンス
NEWSポストセブン
羽生結弦の元妻・末延麻裕子がテレビ出演
《離婚後初めて》羽生結弦の元妻・末延麻裕子さんがTV生出演 饒舌なトークを披露も唯一口を閉ざした話題
女性セブン
古手川祐子
《独占》事実上の“引退状態”にある古手川祐子、娘が語る“意外な今”「気力も体力も衰えてしまったみたいで…」
女性セブン
今年の1月に50歳を迎えた高橋由美子
《高橋由美子が“抱えられて大泥酔”した歌舞伎町の夜》元正統派アイドルがしなだれ「はしご酒場放浪11時間」介抱する男
NEWSポストセブン
ドジャース・大谷翔平選手、元通訳の水原一平容疑者
《真美子さんを守る》水原一平氏の“最後の悪あがき”を拒否した大谷翔平 直前に見せていた「ホテルでの覚悟溢れる行動」
NEWSポストセブン
STAP細胞騒動から10年
【全文公開】STAP細胞騒動の小保方晴子さん、昨年ひそかに結婚していた お相手は同い年の「最大の理解者」
女性セブン
逮捕された十枝内容疑者
《青森県七戸町で死体遺棄》愛車は「赤いチェイサー」逮捕の運送会社代表、親戚で愛人関係にある女性らと元従業員を……近隣住民が感じた「殺意」
NEWSポストセブン