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朝に弱い・慢性的疲労・性欲減退等は副腎疲労症候群の可能性

 副腎(ふくじん)は2つの腎臓の上に乗っかっている、重さ3グラムほどの小さな臓器だ。副腎とはいっても腎臓の機能を助ける働きはなく、ホルモンを分泌している。主なものはアルドステロン、コルチゾール、DHEA、アドレナリン・ノルアドレナリンと副腎の周辺の皮質から分泌される副腎皮質ホルモン(ステロイド)の5つだ。

 ホルモンは体内のナトリウムとカリウムの濃度コントロールやストレスに対して身体の機能を保ったり、筋肉強化や細胞再生など心身のバランスを保つために働いている。

 人間はストレスを受けると、刺激が脳に伝わり、脳下垂体から副腎にストレスに耐えるためのホルモンを分泌するよう指令が出る。ところが強いストレスが続くと、副腎が機能不全に陥ることがある。

 銀座上符メディカルクリニック(東京都中央区)の上符(うわぶ)正志院長に話を聞いた。

「アメリカの抗加齢医学会の研究で、副腎の働きが心身の健康や老化に深く関与していることがわかってきました。強いストレスで副腎に負荷がかかると副腎が疲労し、ホルモン量が減少します。この結果、朝起きられない、慢性的に強い疲労を感じる、性欲減退、集中力や思考力・記憶力の低下、不眠など様々な心身の不調が現われます。これが副腎疲労症候群です」

「副腎疲労症候群による心身の不調は、うつ病や更年期障害などに症状が似ています。ところが内科や心療内科を受診しても診断がつかない方が多いのが現状です。副腎の疲労は、血液検査で複数のホルモン量を計ることで診断できます」(上符院長)

 症状の緩和には、副腎疲労の原因であるストレスを取り除くことが肝心だ。さらに規則正しい生活や深い呼吸、ストレッチや軽めのスポーツを続けるなど生活習慣を見直す。食事ではホルモンの原料となるタンパク質やビタミン・ミネラルをバランスよく摂取する。

 ストレスが強くかかると交感神経が優位になるので、意識的に夜にビタミンCを多く摂る。抗加齢医学会認定医では、DHEAを補充する治療も始まっている。人によって違うが、半年から1年で症状が消失する。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2014年4月25日号

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