調査研究小委員会で学術委員長を務めた三井記念病院総合健診センター特任顧問・山門實(みのる)氏が解説する。
「約150万人という膨大なデータを解析した基準範囲の策定は過去に例がありません。母数が多いことから男女別、年齢別の策定もできた。今後5~10年かけて追跡調査をすれば、さらに精度は高まるはずだ。将来的に統一された検診の基準値としたい」
東海大学名誉教授の大櫛陽一・大櫛医学情報研究所長も新基準を高く評価する。
「欧米の基準とも非常に近く、信頼性は高い。例えば2013年12月、アメリカ政府の委員会が決めた高血圧の基準は60代で上が150。今回の147はそれにかなり近い。従来の130というのは、世界の基準から見てもかなり厳しいものだった。コレステロールについても、欧米ではLDLコレステロールが190以上を『異常』としているが、日本では120以上です。今回の基準では179以上なので、以前に比べれば欧米の基準にかなり近くなった」
新基準は、現在の基準と比較すると「健康」と診断される範囲が広がったので、もし実際の健康診断の基準に採用されれば、これまでは「病人」扱いされてきた人が、「健康」になるケースが続出することになる
※週刊ポスト2014年5月2日号