かつては男らしくモテる条件だった日焼けだが、今年3月の調査によれば、日焼けしていた男性の3人に1人がシミの悩みを抱え、6割がケアしなかった自分に後悔しているという(小林製薬調べ)。その反省の影響か、男性向け日焼け止め市場は拡大中で日傘男子も増加中だ。
「オフィス街でも、日傘をさしている男性の姿が珍しくなくなってきました」というのは、年間1000本以上の男性用日傘を扱う「心斎橋みや竹」の宮武和広さんだ。
「ヒートアイランド現象による熱中症対策を考えたら、外回りで仕事をする人にこそ、帽子よりも大きく、首や背中もカバーできる日傘はおすすめのアイテムなんです。日傘というと紫外線対策にばかり目がいきがちですが、熱中症対策、さらに薄毛対策としても効果的ですよ。晴雨兼用がほとんどですから、最近増えているゲリラ豪雨にも慌てずにすみます」
宮竹さんがいうように、日傘は真夏の熱対策に効果が高い。環境省が2011年に発表したヒートアイランド現象が生じた場合の人への影響を軽減する対策として、上着を着用しないクールビズと共に、男女問わず日傘を活用することがすすめられている。クールビスによって熱ストレスは約11%低減し、さらに日傘を併用すると合計約20%軽減されるというのだ。
環境省のお墨付きをえて、夏の酷暑に備えようと一昨年から男性用日傘の売場をもうける百貨店やホームセンターが増加した。日本洋傘振興協議会も2013年夏には「街中に”パラソル男子”出現の予感」とうたったキャンペーンを実施、年末には新語・流行語大賞に「日傘男子」がノミネートされた。「洋傘業界全体でみれば、少なく見積もっても以前の3倍は売れている分野ではないでしょうか」(前出・宮武さん)という。
とはいえ現実には女性がさす日傘を男の自分も、とは簡単にはいかない。関心はあってもなかなか日傘を差せなかった男性たちは、どうやって日傘男子への第一歩を踏み出しているのか。
「奥さまや家族など、プレゼントで初めて日傘を手にされる方とご自分で購入される方とが半々くらいでしょうか。それでも、実際に外へ日傘をさして出るのにはまだハードルがあります。日傘をさす男は自分だけではないか、人からどう見えているのかという思いとの葛藤です。そのわだかまりは、TwitterやFacebookなどで同じ思いを抱きながら実践している仲間とつながることで解消されているようです」(前出・宮武さん)