スポーツ

東大野球部「敗戦後の悔しがり方が足りない」と専門紙編集長

 東京大学野球部の苦闘が続いている。5月10日の立教大学戦で73連敗というリーグワースト記録を更新してしまった。この3年半、選手はリーグ戦で一度も勝てていない。なぜ東大野球部は弱いのか、どうすれば勝てるのか。1992年秋から発行されている東京六大学野球を応援するフリーペーパー「YELL」の編集長・岡田淳子さんに、東大野球部再生の途を聞いた。(聞き手=フリーライター・神田憲行)

 * * *
--まず東大野球部がこれだけ敗戦を重ねている理由はなんだと思いますか。

岡田:連敗前と比べ得点力(打力だけでなく)と失点を防ぐ力が落ちていると思います。特にこの1、2年の打力不足は深刻です。全体的に小粒というか、技術はあっても小さくまとまっているというか。そして伸び悩み、場合によっては劣化してしまうというケースが多い。

 また以前より選手が故障しやすくなっている気はしますね。惜しい試合をして、次こそ、と期待が膨らんだ時に主力が離脱してしまい、ガタガタっとなってしまうというケースもよく見ました。

--岡田さんは今よりは強い東大野球部をご存じだと思います。そのときと今となにがいちばん違いますか。

岡田:私が見て来た平成以降と比べますと、以前は4年間壊れないエースがいたことが大きいと思います。高橋崇展(92~95、通算7勝)、遠藤良平(96~99、通算8勝)という大エースがいて、エースが全体のレベルを引き上げていました。この二人が在籍した8年で東大は27勝しています。最近はいいピッチャーがいても、勝てないうちに酷使され壊れてしまうということが多く、残念だし見ていてつらいです。

 よく六大学の他の学校のレベルが高くなったと説明されますが、昭和の赤門旋風のときも他の大学は決して弱くなかったと聞きます。最近は確かに5大学全体のレベルが平均的に上がっていて穴がないとは言えますが、高いレベルのチームにも勝つことはできていたのです。

--東大野球部が勝つために、どうすればいいと思いますか。

岡田:東大の選手は試合後、以前はバスで一緒に帰っていましたが、今は着替えてそれぞれに帰っています。シャワーを浴びたり着替えたりしてリセットしてしまうのかもしれません。ですが敗戦後、出てきて球場外で家族と和んでいる姿を見ると、ちょっとなあ……、と思ってしまう。東大に限らず最近の子は切り替えが早い。それが悪いとは言わないのですが、こう勝てないと、ユニフォーム姿のまま悔しさも詰め込んでみんなでバスに乗って帰ったほうがいいのでは、とも思います。

 よく知られているように東大には推薦入学がありません。他大学は2月から新入生が練習に参加しますが、東大の新入生参加は大体4月から。入試の影響で体も出来ていないため、デビューは早くても春のリーグ戦中盤から秋のリーグ戦からになってしまいます。ですので、東大に入った有望選手は1年生のときは野球部に所属せず、体作りと単位取りに専念し、2年目から入部し、5年目まで4年間野球部に所属するというのも一つの方法かと思います。もちろんいろいろ問題はあるかと思いますが、実現可能ではあると思います。そこまでする気持ちがあるかどうか、結局は選手のやる気次第かもしれませんが。

 また下級生から活躍しながら、故障し離脱するパターンが近年特に多いので、まずはしっかり体作りをして欲しいですし、そのためにも優秀なトレーナーが必要ではないかと思います。

関連記事

トピックス

小林ひとみ
結婚したのは“事務所の社長”…元セクシー女優・小林ひとみ(62)が直面した“2児の子育て”と“実際の収入”「背に腹は代えられない」仕事と育児を両立した“怒涛の日々” 
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン