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人間ドック学会が出した健康の新基準値に専門学会側が猛反発

 日本の医学界を揺るがす「健康基準値」大論争に、“患者たち”が翻弄されている。健康基準値とは、血圧やコレステロール値などの数値が、ある一定の範囲内に収まっていれば「正常」、逸脱していれば「異常」と判定する際の基準となる数値のこと。人々を「健康」か「病気」かに振り分ける極めて重要な指標である。

 現在、健康診断や人間ドックなどで用いられている基準値は臨床系の専門学会のガイドラインなどに沿って定められている。血圧なら日本高血圧学会、コレステロールなら日本動脈硬化学会といった具合で、権威ある“象牙の塔”の住人たちに策定が委ねられてきた。

 そうした状況の中、人間ドック学会が150万人のドック受診者のデータをもとに「新基準値」を弾き出した。この数値が従来の専門学会策定のものと大きくかけ離れていたため、専門学会側が猛反発しているのだ。

 この論争は、5月3日付朝日新聞の社会面に<健診基準の緩和案 波紋>と取り上げられるなど、医学界だけでなく一般の人々からも大きな関心を呼んでいる。

 高血圧学会は4月14日、人間ドック学会が示した新基準値について、<本当に「正常」といえるか不明であり(中略)一部には「要再検査、要治療」が含まれている>と反論の見解を発表した。

 動脈硬化学会は23日、より過激な言辞で<人間ドック学会の「基準範囲」は日本国民の健康に悪影響を及ぼしかねない危険なもの>と断じ、新基準を完全否定した。

 あまりの騒動の広がりを受けて、人間ドック学会側も「あくまで健康の目安であり、病気のリスクを示したものではない」とコメントを出し、事態の鎮静化に努めている。

【血圧(mmHg)】
○専門学会の定める「基準値」
・収縮期/140以上は高血圧(日本高血圧学会)
・拡張期/90以上は高血圧(日本高血圧学会)

○日本人間ドック学会の「新基準値」
・収縮期/88~147
・拡張期/51~94

※週刊ポスト2014年5月23日号

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