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高血圧治療「薬で血圧下げても長生きしない」との研究結果も

 血圧は一体、いくつまでセーフなのか──。4月に日本人間ドック学会が発表した新しい健康基準値では「上(収縮期血圧)147までが健康値」とされ、これまで専門学会が定めてきた「140以上は高血圧」の基準と違うため、大きな論争となっている。

 だが、血圧は上がりすぎるだけでなく、高血圧治療薬の副作用により下がりすぎても健康に弊害を及ぼすことは、あまり知らされていない。

 イギリスの研究グループは、高血圧治療薬を投与した実薬グループ8700人、偽薬(効き目のない偽の薬)を投与したグループ8654人を対象に、5年の期間をかけた大規模調査の結果を発表した(1985年)。

 注目されたのは死亡者の数だ。総死亡率は実薬グループ、偽薬グループで違いが見られなかった。つまり、「薬で血圧を下げても長生きしない」という結論である。

 高血圧症によって引き起こされる代表的な病気は脳卒中と心臓病。同研究では、総死亡のうち脳卒中と心筋梗塞による死亡者数もカウントされているが、脳卒中についても死亡率に差がなかった。しかし心筋梗塞による死亡数では、実薬グループで106人、偽薬グループ97人と、薬を飲んだグループのほうが逆に増えてしまったのである。

 理由としては、「高血圧薬の副作用」などが挙げられているが、薬の服用の一番の目的は長生きすることにあるため、薬を飲んでも寿命が延びない、むしろ病気のリスクを高めてしまうのなら意味などない。

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