ビジネス

キリンビール社長『一番搾り』に注力する決断に迷いなかった

 キリンがいま、ビールのフラッグシップブランドとして注力する『一番搾り』のリニューアルには、今年1~3月に前年比9.1%増の販売量を達成するなど一定の手応えがあるが、他社の攻勢も凄まじく1~3月期はビール類全体でシェアを落とした。中間持株会社のキリンと、その事業会社であるキリンビールの社長を兼任する磯崎功典氏(60)は、どう舵取りをしていくのか。ジャーナリストの永井隆氏が訊いた。

──これまでビールは『ラガー』との2本柱で展開していたが、今年から『一番搾り』に集中的に力を入れている。決断に迷いはなかったのか。

磯崎:まったくなかった。ビールでキリンのブランド力を高めれば、自然と他の商品にもそれが波及する。ビールの中でもキリンのフラッグシップは『一番搾り』であり、2年前に社長になった時から注力するなら『一番搾り』と決めていた。駆け込み需要の要素もあるが、1~3月は缶の販売は好調に推移していて、消費者に我々のメッセージが届きつつあると考えている。

──サントリーは『ザ・プレミアム・モルツ』、アサヒは『ドライプレミアム』に力を入れている。プレミアムでは出遅れたのではないか。

磯崎:今年は、中元と歳暮で『一番搾り プレミアム』を出す。ただし、通年では売らない。『一番搾り』そのものが一番麦汁だけを使ったプレミアムなものなので、「それより上がある」ということでお客様を混乱させたくないからだ。

 一方で、ギフトは飲食店と同じく消費者との重要な接点になる。贈る側も贈られる側もブランド価値を意識するので、『一番搾り』をアピールするのに絶好の機会だと思うから、そこではプレミアムを投入していく。

──セブン&アイHDと共同開発した『グランドキリン』は好調だ。流通大手との共同開発商品が増える一方、他社ではPB(プライベートブランド)をやることにアレルギーを持つビール会社幹部は多い。キリンはどうか。

磯崎:実は私は、「PBはやりたくない」などといったこだわりはない。

 かつて酒販店は15万軒あったが、今は流通大手の1社だけでコンビニやスーパーなど1万以上の売り場を持っている。それだけの店舗で置いてもらうメリットは計り知れない。キリンは今後、流通との協力体制を拡充させていく。

※SAPIO2014年6月号

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン