ライフ

世界的にも難しい小型犬の心臓病治療 日本の犬の名医を紹介

 犬が長生きするようになるとともに、犬の「心臓病」が増えてきている。先天性のものと後天性のものがあるが、特に現在、後天性心疾患の代表格である「僧帽弁閉鎖不全症」が世界的に増えているという。一定年齢に達すると僧帽弁が悪くなることで、血液が逆流し、進行すると呼吸困難などになる。

 こうした犬の心臓病治療は、人間よりも心臓が小さいため、世界的に難しいとされてきたが、日本の一部の獣医師たちは、小型犬、老齢犬に対してさえ世界をリードする治療を行なっているという。循環器を専門とする獣医師たちが、自らを除いて「循環器分野で優秀と思われる」獣医師を選んだ結果、「犬の名医」たちの名が浮かび上がってきた。

「小型犬の心臓は卵ほどの大きさで、手術は難しいとされてきましたが、この僧帽弁閉鎖不全症の僧帽弁形成術を世界で初めて成功させました。また、先天性心疾患である動脈管開存症と肺動脈狭窄症の矯正手術も当院が日本で初めて成功させています」

 そう語るのは、『犬の名医さん100人データブック』(小学館)でも登場している愛知県名古屋市の『茶屋ヶ坂動物病院』の金本勇院長だ。金本氏は、「獣医療における心臓外科の草分け」として世界的に有名な獣医師で、新しい手術法の考案者でもある。その技術の秘密は、「海外論文の研究に加え、獣医療の先を行っていた人間の医療を学ぶために名古屋大学医学部で胸部外科を学んだこと」だという。今も全国の獣医師から相談と診療依頼が来るという。

 同じく愛知県岩倉市の『千村どうぶつ病院』の千村収院長は、犬の負担軽減ためカテーテル治療を実践している。

「心臓病治療の場合は、外科的に開胸する手術と、血管からカテーテルといわれる管を入れて治療するインターベンションがあります。このインターベンションの方が、小さな傷口で済み、痛みが少なく、費用も安いといえます。かつては体重3キロ未満の犬にはカテーテルを入れられないとされていましたが、現在は2キロ以上で行なうことができるようになってきました」

 千村氏と同様にカテーテル治療を行なっているのが、神奈川県相模原市の『麻布大学附属動物病院』の藤井洋子小動物診療部長だ。米国獣医内科学会心臓病専門医の資格も持つ藤井氏は、ほかの循環器獣医師からも「屈指の実力者」と認められている。

「初診時に、心臓の病気以外が疑われる場合や、ほかの内臓疾患が原発となって心臓が悪くなったと考えられる場合、必ずほかの専門家と相談して治療方針を決めます。そのため初診では2時間程度かかることもあります」

関連記事

トピックス

11月10日、金屏風の前で婚約会見を行った歌舞伎俳優の中村橋之助と元乃木坂46で女優の能條愛未
《中村橋之助&能條愛未が歌舞伎界で12年9か月ぶりの金屏風会見》三田寛子、藤原紀香、前田愛…一家を支える完璧で最強な“梨園の妻”たち
女性セブン
土曜プレミアムで放送される映画『テルマエ・ロマエ』
《一連の騒動の影響は?》フジテレビ特番枠『土曜プレミアム』に異変 かつての映画枠『ゴールデン洋画劇場』に回帰か、それとも苦渋の選択か 
NEWSポストセブン
インドネシア人のレインハルト・シナガ受刑者(グレーター・マンチェスター警察HPより)
「2年間で136人の被害者」「犯行中の映像が3TB押収」イギリス史上最悪の“レイプ犯”、 地獄の刑務所生活で暴力に遭い「本国送還」求める【殺人以外で異例の“終身刑”】
NEWSポストセブン
左が金井正彰・外務省アジア大洋州局長、右が劉勁松・中国外務省アジア局長。劉氏はポケットに両手を入れたまま(AFP=時事)
《“両手ポケット”に日本が頭を下げる?》中国外務省局長の“優位強調”写真が拡散 プロパガンダの狙いと日本が“情報戦”でダメージを受けないために現場でやるべきだったことを臨床心理士が分析
NEWSポストセブン
ビエンチャン中高一貫校を訪問された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月19日、撮影/横田紋子)
《生徒たちと笑顔で交流》愛子さま、エレガントなセパレート風のワンピでラオスの学校を訪問 レース生地と爽やかなライトブルーで親しみやすい印象に
NEWSポストセブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
“関東球団は諦めた”去就が注目される前田健太投手が“心変わり”か…元女子アナ妻との「家族愛」と「活躍の機会」の狭間で
NEWSポストセブン
ラオスを公式訪問されている天皇皇后両陛下の長女・愛子さまラオス訪問(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《何もかもが美しく素晴らしい》愛子さま、ラオスでの晩餐会で魅せた着物姿に上がる絶賛の声 「菊」「橘」など縁起の良い柄で示された“親善”のお気持ち
NEWSポストセブン
大谷翔平(時事通信フォト)
オフ突入の大谷翔平、怒涛の分刻みCM撮影ラッシュ 持ち時間は1社4時間から2時間に短縮でもスポンサーを感激させる強いこだわり 年末年始は“極秘帰国計画”か 
女性セブン
10月に公然わいせつ罪で逮捕された草間リチャード敬太被告
《グループ脱退を発表》「Aぇ! group」草間リチャード敬太、逮捕直前に見せていた「マスク姿での奇行」 公然わいせつで略式起訴【マスク姿で周囲を徘徊】
NEWSポストセブン
65歳ストーカー女性からの被害状況を明かした中村敬斗(時事通信フォト)
《恐怖の粘着メッセージ》中村敬斗選手(25)へのつきまといで65歳の女が逮捕 容疑者がインスタ投稿していた「愛の言葉」 SNS時代の深刻なストーカー被害
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
「はい!お付き合いしています」水上恒司(26)が“秒速回答、背景にあった恋愛哲学「ごまかすのは相手に失礼」
NEWSポストセブン
大谷翔平選手、妻・真美子さんの“デコピンコーデ”が話題に(Xより)
《大谷選手の隣で“控えめ”スマイル》真美子さん、MVP受賞の場で披露の“デコピン色ワンピ”は入手困難品…ブランドが回答「ブティックにも一般のお客様から問い合わせを頂いています」
NEWSポストセブン