ライフ

妖怪ウォッチ&花子とアン効果で甲州弁「~ズラ」が全国区に

 最近、子どもたちが奇妙な話し方をしている。「たまげたズラ」「こわいズラ~」「すんげぇズラ」など耳慣れない訛りで話しているのだ。この口調は、子どもに大人気の『妖怪ウォッチ』に登場する田舎から出てきた狛犬の妖怪「コマさん」の口まね。そして文末の「ズラ」は静岡、山梨、長野の方言でもある。山梨の甲州弁は数年前にバラエティ番組の企画「ブサイク方言選手権」で1位になったこともあるが、子どもたちにとって「ズラ」はカワイイものらしい。

『「方言コスプレ」の時代 ニセ関西弁から龍馬語まで』の著者で、日本大学文理学部で方言・社会言語学を教える田中ゆかり教授によれば、子どもたちが大人からは奇妙に聞こえる方言などの口まねを喜んですることそのものは、過去にも多く見られたという。

「古くは1975年に栄養ドリンク『新グロモント』のテレビCMで流れた秋田方言『ちかれたびー』が大流行し、子どもたちが盛んに真似をするということがありました。漫画やアニメの人気キャラクターが話す「方言」を子どもたちが真似ることそのものは、とくに珍しいことではありません。ただ、中部方言キャラそのものが珍しいので、中部方言が子どもたちの人気になっているという現象は、新しいですね」

 過去にマンガやアニメで中部地方の方言が使用された例としては、1972年に漫画連載が始まった『ドカベン』の殿馬一人がコマさんと同じく「ズラ」を使い、1980年代には『Dr.スランプ』のニコちゃん大王は宇宙人なのに愛知県東部の三河弁を話した。1995年まで漫画連載が続いた『ドラゴンボール』の主人公、孫悟空も名古屋弁を使っているが、主な使用例はこのくらいであまり多くない。

「マンガの登場人物が話す方言にはどこのものが多いか調べたことがあります。その結果からは、方言キャラは、関西、九州が多く、中部地方は非常に少ないという結果になりました。同じように、近代文学に現れる方言としても、やはり中部地方は珍しい部類です。

 マンガや小説などに登場する中部方言キャラは従来それほど多くなかったので、まだ特定のイメージがついていない新鮮な方言ということができます。中部方言キャラのコマさんは、そういう意味で新鮮なキャラとして受けとめられているのではないでしょうか」(前出・田中さん)

関連キーワード

関連記事

トピックス

靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン
俳優の仲代達矢さん
【追悼】仲代達矢さんが明かしていた“最大のライバル”の存在 「人の10倍努力」して演劇に人生を捧げた名優の肉声
週刊ポスト
10月16日午前、40代の女性歌手が何者かに襲われた。”黒づくめ”の格好をした犯人は現在も逃走を続けている
《ポスターに謎の“バツ印”》「『キャー』と悲鳴が…」「現場にドバッと血のあと」ライブハウス開店待ちの女性シンガーを “黒づくめの男”が襲撃 状況証拠が示唆する犯行の計画性
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(右の写真はサンプルです)
「熊に喰い尽くされ、骨がむき出しに」「大声をあげても襲ってくる」ベテラン猟師をも襲うクマの“驚くべき高知能”《昭和・平成“人食い熊”事件から学ぶクマ対策》
NEWSポストセブン
オールスターゲーム前のレッドカーペットに大谷翔平とともに登場。夫・翔平の横で際立つ特注ドレス(2025年7月15日)。写真=AP/アフロ
大谷真美子さん、米国生活2年目で洗練されたファッションセンス 眉毛サロン通いも? 高級ブランドの特注ドレスからファストファッションのジャケットまで着こなし【スタイリストが分析】
週刊ポスト
公金還流疑惑がさらに発覚(藤田文武・日本維新の会共同代表/時事通信フォト)
《新たな公金還流疑惑》「維新の会」大阪市議のデザイン会社に藤田文武・共同代表ら議員が総額984万円発注 藤田氏側は「適法だが今後は発注しない」と回答
週刊ポスト
“反日暴言ネット投稿”で注目を集める中国駐大阪総領事
「汚い首は斬ってやる」発言の中国総領事のSNS暴言癖 かつては民主化運動にも参加したリベラル派が40代でタカ派の戦狼外交官に転向 “柔軟な外交官”の評判も
週刊ポスト
超音波スカルプケアデバイスの「ソノリプロ」。強気の「90日間返金保証」の秘密とは──
超音波スカルプケアデバイス「ソノリプロ」開発者が明かす強気の「90日間全額返金保証」をつけられる理由とは《頭皮の気になる部分をケア》
NEWSポストセブン
三田寛子(時事通信フォト)
「あの嫁は何なんだ」「坊っちゃんが可哀想」三田寛子が過ごした苦労続きの新婚時代…新妻・能條愛未を“全力サポート”する理由
NEWSポストセブン
大相撲九州場所
九州場所「17年連続15日皆勤」の溜席の博多美人はなぜ通い続けられるのか 身支度は大変だが「江戸時代にタイムトリップしているような気持ちになれる」と語る
NEWSポストセブン
初代優勝者がつくったカクテル『鳳鳴(ほうめい)』。SUNTORY WORLD WHISKY「碧Ao」(右)をベースに日本の春を象徴する桜を使用したリキュール「KANADE〈奏〉桜」などが使われている
《“バーテンダーNo.1”が決まる》『サントリー ザ・バーテンダーアワード2025』に込められた未来へ続く「洋酒文化伝承」にかける思い
NEWSポストセブン