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「有効求人倍率1.08倍」はワンオペなどでかさ上げされた数字

 安倍晋三首相は二言目には、「雇用の改善」を自画自賛したがる。6月2日に東京で開かれた『世界経済フォーラム』のスピーチでも、各国の経営者や経済学者を前に、「有効求人倍率」の数字をあげて得意満面に語った。

「アベノミクスが始まってから、有効求人倍率は17か月連続で上昇し、1.08倍まで回復しました。(中略)『アベノミクスで活力ある日本を作り出す』。ダボス会議(今年1月)で私がこう約束してからの130日間が、日本にとっていかにエキサイティングなものであったかをご理解いただけたのではないでしょうか」

 5月末に発表された最新の指標はリーマンショック以来、7年9か月ぶりに「1.08倍」まで回復し、大メディアは「バブル後の最高」(朝日)、「企業の人手不足強まる」(日経)と大々的に報じた。

 人手不足の象徴とされているのが大手牛丼チェーン各社の時給アップ競争だ。人手を確保するために一部の店舗では夜間の時給が1500円に上昇、それでも労働者が集まらずに休業に追い込まれる店舗があることが報じられている。

 そう聞かされると、まるでバブル期を彷彿させる。

 しかし、実は、求人が増えているのは、震災復興と東京五輪需要が重なって深刻な技能者不足に陥っている建設業界や製造業の工場労働者、外食産業の店舗販売員など特定の非正規雇用の職種に集中。

 深夜営業の店舗には、「ワンオペレーション」(ワンオペ)といって深夜の時間帯、アルバイト店員1人で店を切り盛りしなければならないという、心身ともに負担が大きい職場も多い。そのためアルバイトやパート店員の定着率が低く、慢性的な人手不足で常に求人を出すことになる。

 有効求人倍率「1.08倍」とはこうしてかさ上げされた数字なのだ。企業側にすれば、深夜、店員1人の運営なら時給を引き上げてもそれほどの人件費アップにはならない。

※週刊ポスト2014年6月20日号

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