もっともアリババが5月上旬に上場を申請すると、ソフトバンクの株価は2日間で約7%も下落した。SMBC日興証券アナリストの菊池悟氏が解説する。
「アリババに投資したい人たちは、これまでソフトバンク株を買っていた。その投資家たちがソフトバンク株を売って、アリババ株を買おうと換金し始めた、あるいは換金する人が多くなると考えられたため売られたのです」
ヤフー、国内携帯4位のイー・アクセス、オンラインゲームのガンホーをはじめ、ソフトバンクグループは現在約1300社。昨年7月に1兆5000億円以上を投じて米携帯3位のスプリントを子会社化したのに続いて、携帯ゲーム大手のスーパーセル(フィンランド)、携帯卸の世界最大手の米ブライトスターなど相次いで1000億円規模の投資をしてグループを拡大している。「通信会社というより投資会社」(菊池氏)なのだ。
一方で、有利子負債は9兆円以上に膨らんでおり、財務状況を懸念する声もある。菊池氏はこう語る。
「今は世界的に金余りなので借金しやすい。ただし、戦争の勃発や大災害の発生、2008年のリーマン・ショックのような事態が起きて世界的な信用収縮に向かうと、有利子負債が大きいソフトバンクは一転して厳しい状況に陥る」
●取材・文/永井隆(ジャーナリスト)と本誌取材班
※SAPIO2014年7月号