国内

市販薬 「薬局で購入=安心 ネットで購入=危険」は本当か

 6月12日から改正薬事法が施行され、「薬のネット販売解禁」と話題になった。だが、実際には解禁されていない品目がある。元キャリア官僚で規制改革担当大臣補佐官を務めた原英史氏(政策工房社長)は7月1日に発売される『日本人を縛りつける役人の掟』(小学館)の中で、ネット販売解禁の「例外」となった項目のおかしさについて解説する。

 * * *
 安倍晋三首相は2013年6月、成長戦略の決定に際して薬ネット販売について、「ネットでの取引がこれだけ定着した現代で、対面でもネットでも、とにかく消費者の安全性と利便性を高めるというアプローチが筋です。消費者の安全性を確保しつつ、しっかりしたルールの下で、すべての一般医薬品の販売を解禁いたします」と表明していた。

 ところがその後、安倍内閣は「すべての」という方針を撤回した。処方箋薬(医師が処方する医療用医薬品)から大衆薬(薬局の店頭で販売される一般用医薬品)に転換して間もない医薬品(いわゆる「スイッチ直後品目」。議論が進められていた時点では23品目)と劇薬5品目については、「要指導医薬品」としてネット販売を禁止する方針を決めた。
 
 政府は2013年11月12日、この「一部解禁」の方針を条文化して「薬事法及び薬剤師法の一部を改正する法律案」を提出。臨時国会で成立した。この政府の対応について、「特にリスクの高い品目は、慎重な対応が必要。劇薬など28品目に限って禁止、というのは仕方ないのでは」と考える人もいるかもしれない。

 しかし、「なぜ、インターネット販売が薬局での対面販売と比べて危険なのか?」という点については不明確なままだ。

 検討過程の資料では、要指導医薬品について種々のリスクがあって慎重な対応が必要であると示されている。例えば、花粉症などのアレルギー症状用の鼻炎スプレーについては次のようなものだ。

 販売に際し情報収集・確認すべき事項として、「18歳未満でないこと」「妊娠していないこと」「アレルギーの有無、高血圧・糖尿病・ぜんそく・感染症などの有無」「ステロイド点鼻薬を過去1年で1か月以上使用したか」など17項目。
 
 注意を促すべき事項として「頭痛・めまいの有無」「皮膚の発ほっ疹しん・かゆみの有無」「鼻汁が黄色や緑色など通常と異なる状態」など10項目。

 合計27項目が挙げられている。たしかに、いろいろな確認とチェックが必要だが、本当に薬局で確認したら安全で、インターネット販売なら危険なのだろうか。むしろ薬局の店頭でこれら項目をすべて確認することのほうがよほど困難。インターネット販売ならチェック用の画面を設けて個別に確認できるから、より適しているはずだ。

関連記事

トピックス

初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
芸能活動を再開することがわかった新井浩文(時事通信フォト)
「ウチも性格上ぱぁ~っと言いたいタイプ」俳優・新井浩文が激ヤセ乗り越えて“1日限定”の舞台復帰を選んだ背景
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
小説「ロリータ」からの引用か(Aでメイン、民主党資料より)
《女性たちの胸元、足、腰に書き込まれた文字の不気味…》10代少女らが被害を受けた闇深い人身売買事件で写真公開 米・心理学者が分析する“嫌悪される理由”とは
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン