国内

高須院長「ブラック企業的薄利多売ビジネスは成功しない」

ブラック企業問題にメスを入れた高須院長

 高須クリニックの高須克弥院長が、様々な出来事に自由な意見をぶつけるシリーズ企画「かっちゃんに訊け!!」。今回は、ネット上で話題になることが多いブラック企業についてお訊きしました。

 * * *。
──近ごろ、ネット上などで話題になることが多いのが、ブラック企業問題です。サービス残業を強いられるとか、労働条件があまりにも過酷だとか、そういった企業がネット上で激しく批判されています。また、牛丼チェーンのすき家や、居酒屋チェーンのワタミグループでは、勤務がキツイということでアルバイトが集まらず、閉店に追い込まれる店舗もあります。

高須:すき家は、消費税が8%になったのに値下げしたんでしょ?

──そうですね。吉野家は値上げしたんですが。

高須:そりゃあアルバイトに負担もかかるよ。値段を下げれば客が集まるって思いがちだけど、それは違うんだよね。薄利多売が優良なビジネスモデルだと信じ込んでいるのかな? それはダイエーが失敗しているわけで、間違っているってわかるはずなんだけどなあ。

薄利多売で利益を上げるというのは、それだけ労働者への負担を増やしていることだからね。人件費が安い発展途上国だったらそれでいいかもしれないけど、今の日本では到底成立しないんだよ。そのうえ少子化で労働力も足りないんだから、回るわけがない。薄利多売では成功しないよ。

──バイトが集まらないのも当然だと。

高須:そう。安売りしても長くは続かない。高須クリニックは開業当時から実は、全然値上げしてないんだよ。そして、新しい技術を入れるときも決して安売りをしないし、価格も変えない。そうやって、同じクオリティーのサービスを同じ価格で提供し続けることで、いつしかブランドになる。薄利多売の精神では絶対に無理。

──労働者を酷使するブラック企業的なやり方は、本来うまくいくはずがないということですね。

高須:そうそう。ブラック企業は結局損するんだよ。まあでも、昔の高須病院なんて典型的なブラック企業だったけどね(笑い)。今はしっかり休むようになったけど、昔のお医者さんは休む暇なんかなかったし、患者さんのために不眠不休で働いていたから、尊敬されていたわけだしね。

──たしかに、市民にとっては、いつでもお医者さんが診てくれるという安心感はすごく重要ですよね。

高須:今は深夜の往診なんかあまりしなくなっちゃったからねえ。まだ大丈夫だけど、病院が労働条件ばっかり気にし始めたら、医療が崩壊してしまうかもしれない。本当ならブラックにならない程度に、各病院が人材を確保できて、報酬もそれなりに出ていればいいんだけど、現実問題としてはちょっと難しいかな。医療の場合は、多少ブラックなくらいでないと、良心的とはいえないんだろうな。

──社会貢献ではないですが、お医者さんには多少頑張ってもらうしかないというか…。

高須:すき家みたいに、お医者さんがいないから開業できません、なんてなったら大問題だからね。でも、すき家は時給もけっこう高くしているんでしょ? それなのにバイトが集まらないの?

──深夜帯のバイトがいないらしいんですが、すき家は深夜のシフトが1人になることが多いんですよ。で、それが知れ渡っていて「バイト1人なら襲いやすい」ってことで強盗被害も増えた。いくら時給が高くても、強盗に遭うのはイヤだっていう人もいるみたいなんですよ。

高須:なるほどねえ。じゃあさあ、その強盗の人たちをアルバイトで雇えばいいんじゃないの? 犯罪者になるより絶対そっちのほうがいいよ(笑い)。

──たしかに犯罪者になるくらいなら深夜バイトをしたほうがいいに決まってますが、さすがに強盗をバイトとして雇うというのは無茶な話ですよ、院長!

高須:そう? 昔の中国なんかでは、盗賊を兵士として雇って敵国に攻めたりしていたけどね。そういう問題じゃないか(笑い)。

 * * *
 ブラック企業と呼ばれるような、労働者を酷使して薄利多売を実践するようなビジネスモデルは、間違っていると主張する高須院長。労働者を酷使すれば、当然サービスも悪くなっていくわけで、消費者としてもまったくもって歓迎できない事態になるはず。高須院長の言う通り、企業としては、安価のサービスではなく、質の高いサービスを提供し続ける努力こそが重要なのかもしれない。

【プロフィール】
高須克弥(たかすかつや):1945年愛知県生まれ。医学博士。昭和大学医学部卒業、同大学院医学研究科博士課程修了。大学院在学中から海外へ(イタリアやドイツ)研修に行き、最新の美容外科技術を学ぶ。脂肪吸引手術をはじめ、世界の最新美容外科技術を日本に数多く紹介。

 昭和大学医学部形成外科学客員教授。医療法人社団福祉会高須病院理事長。高須クリニック院長。人脈は芸能界、財界、政界と多岐にわたり幅広い。金色有功章、紺綬褒章を受章。著書に『バカにつける薬 ドクター高須の抱腹絶倒・健康術』(新潮OH!文庫)、『私、美人化計画』(祥伝社)、『シミ・しわ・たるみを自分で直す本』(KKベストセラーズ)、『ブスの壁』(新潮社、西原理恵子との共著)、『その健康法では「早死に」する!』(扶桑社)など。最新刊は『筋と義理を通せば人生はうまくいく』(宝島社)。

関連記事

トピックス

降谷健志の不倫離婚から1年半
《降谷健志の不倫離婚から1年半の現在》MEGUMIが「古谷姓」を名乗り続ける理由、「役者の仕事が無く悩んでいた時期に…」グラドルからブルーリボン女優への転身
NEWSポストセブン
警視庁がオンラインカジノ店から押収したパソコンなど(時事通信フォト)
《従業員や客ら12人現行犯逮捕》摘発された店舗型オンカジ かつての利用者が語った「店舗型であれば”安心”だと思った」理由とは?
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン
遠野なぎこ(本人のインスタグラムより)
《前所属事務所代表も困惑》遠野なぎこの安否がわからない…「親族にも電話が繋がらない」「警察から連絡はない」遺体が発見された部屋は「近いうちに特殊清掃が入る予定」
NEWSポストセブン
放送作家でコラムニストの山田美保子さんが、さまざまな障壁を乗り越えてきた女性たちについて綴る
《佐々木希が渡部建の騒動への思いをストレートに吐露》安達祐実、梅宮アンナ、加藤綾菜…いろいろあっても流されず、自分で選択してきた女性たちの強さ
女性セブン
看護師不足が叫ばれている(イメージ)
深刻化する“若手医師の外科離れ”で加速する「医療崩壊」の現実 「がん手術が半年待ち」「今までは助かっていた命も助からなくなる」
NEWSポストセブン
(イメージ、GFdays/イメージマート)
《「歌舞伎町弁護士」が見た恐怖事例》「1億5000万円を食い物に」地主の息子がガールズバーで盛られた「睡眠薬入りカクテル」
NEWSポストセブン
キール・スターマー首相に声を荒げたイーロン・マスク氏(時事通信フォト)
《英国で社会問題化》疑似恋愛で身体を支配、推定70人以上の男が虐待…少女への組織的性犯罪“グルーミング・ギャング”が野放しにされてきたワケ「人種間の緊張を避けたいと捜査に及び腰に」
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
【新宿タワマン殺人】和久井被告(52)「バイアグラと催涙スプレーを用意していた…」キャバクラ店経営の被害女性をメッタ刺しにした“悪質な復讐心”【求刑懲役17年】
NEWSポストセブン
女優・遠野なぎこの自宅マンションから身元不明の遺体が見つかってから1週間が経った(右・ブログより)
《上の部屋からロープが垂れ下がり…》遠野なぎこ、マンション住民が証言「近日中に特殊清掃が入る」遺体発見現場のポストは“パンパン”のまま 1週間経つも身元が発表されない理由
NEWSポストセブン
幼少の頃から、愛子さまにとって「世界平和」は身近で壮大な願い(2025年6月、沖縄県・那覇市。撮影/JMPA)
《愛子さまが11月にご訪問》ラオスでの日本人男性による児童買春について現地日本大使館が厳しく警告「日本警察は積極的な事件化に努めている」 
女性セブン