国際情報

中国人民解放軍に1万人規模のサイバー兵 民兵800万人も存在

 今年5月、米司法省は複数の国内大手企業のシステムに不正侵入、機密情報を窃取したとして、中国人民解放軍「61398部隊」所属の将校5人を起訴、指名手配した。

「上海に本部を置く61398部隊は、対北米のシギント(通信傍受)を専門とする人民解放軍総参謀部第3部第2局隷下のサイバー部隊です。高度なITの知識と技術を有し、対象国の言語や社会情勢などにも精通する数百名の要員を抱えています」(軍事ジャーナリスト・黒井文太郎氏)

 昨年2月に米・セキュリティ会社マンディアントが公表したリポートによると、同部隊は2006年頃から米国を含めた15か国を対象に活動。情報通信や航空・宇宙産業など20業種141社から機密データを盗み出したとされる。

 一連の工作には「標的型攻撃メール」が多用されていた。知人や関係者を装ったメールに、PDFファイルなどに偽装したマルウェア(有害なソフトウェア)を添付、ターゲットのシステム内部に侵入させ、データの流出や改竄、破壊活動を行なうものだ。

 この対米61398部隊と並ぶ実力を有するのが、対日サイバー攻撃の中心となる「61419部隊」である。

 2011年には総務省をはじめとする中央省庁や防衛産業大手の三菱重工、川崎重工、IHIなどが標的型攻撃メールによる大規模なハッキングを受けたが、それらの対日サイバー攻撃に関与していると見られるのが、この人民解放軍総参謀部第3部第4局の「61419部隊」だった。前出・黒井氏が語る。

「この部隊はシギント機関の一部門で、日本からの電波を傍受しやすい山東半島の青島に拠点を置いています。2011年に発生した三菱重工への攻撃では、社内資料の一部が本来とは異なるサーバーに移し替えられるなど、システム中枢に入りこまれていた。動機や作戦規模から同部隊の犯行である可能性がもっとも高い」

 警視庁公安部の調査によれば2009年以降、中央省庁や防衛関連企業、重要インフラ関連企業など30以上がサイバー攻撃を受けており、ウイルスに感染したパソコンの大半が中国のサーバーやサイトに強制接続させられていたという。

 陸上自衛隊システム防護隊初代隊長でラック社ナショナルセキュリティ研究所の伊東寛氏が語る。

「中国は1990年代からサイバー戦力の構築・増強に傾注し、軍事・経済・政治及び外交の各分野でそれを利用しています。

 人民解放軍には数千から1万人規模のサイバー兵が存在し、傘下に民間の大学や情報関連企業で働く800万人のサイバー民兵を擁していると言われている。情報収集活動だけでなく、有事に通信システムやインフラを破壊する高い攻撃能力も持ち合わせていると見て間違いない」

関連キーワード

関連記事

トピックス

登山家・著述家の服部文祥氏(左)と俳優の東出昌大氏が語り合った
「人間の方がはるかに凶暴」登山家・服部文祥氏&俳優・東出昌大氏が問題提起する“クマ駆除の数は妥当なのか”「クマ目線もなきゃズルいだろ」の意見
週刊ポスト
店を出て言葉を交わす2人(2025年11月)
《寄り添う夫婦の黒コーデ》今井美樹と布袋寅泰、街中でかかげたキラりと光る指輪に妻の「プライド」高級スーパーでお買い物
NEWSポストセブン
結婚を発表した長澤まさみ(時事通信フォト)
《圧巻の8頭身ボディ》結婚発表の長澤まさみが語っていた「タイプの男性」 インタビュアーも虜になったオーラと「人間力」
NEWSポストセブン
今森茉耶(事務所HPより、現在は削除済み)
《ゴジュウジャー降板女優の今森茉耶》SNS投稿削除で“消息不明”に…母親が明かした複雑な胸中「何度でもやり直せる」
NEWSポストセブン
85歳。小説家、絵本作家の志茂田景樹さんの現在地とは
《執筆は介護ベッドで音声システムを使って…》書き続ける“要介護5”の作家・志茂田景樹が語る現在の暮らし「“老い”を意識したら少しでも充実する気持ちを」 
NEWSポストセブン
2025年に離婚を発表した加藤ローサと松井大輔(左/本人インスタグラム、右/時事通信フォト)
《ファミリーカーの運転席で弁当をモグモグ…》2児の母・加藤ローサ、離婚公表後の松井大輔氏との現在 いまも一緒に過ごす元夫の愛車は「高級外車」
NEWSポストセブン
女優の大路恵美さん
《江口洋介さん、福山雅治さん…年上の兄弟から順に配役が決まった》『ひとつ屋根の下』女優・大路恵美さんが“小梅役”に選ばれた決め手を告白
NEWSポストセブン
食道がんであることを公表した石橋貴明、元妻の鈴木保奈美は沈黙を貫いている(左/Instagramより)
《“七三分け”白髪の石橋貴明が動き始めた》鈴木保奈美「私がお仕事をしてこられたのは…」“再ブレイクと闘病中”元夫婦の距離感
NEWSポストセブン
波瑠と高杉真宙の仲睦まじいツーショット
《波瑠がメガネと白セーター姿で高杉真宙にピッタリ寄り添い…》「思い出深い1年でした」新婚ホヤホヤの2人は“お揃いのデニムパンツ”で笑顔の神対応
NEWSポストセブン
『激走戦隊カーレンジャー』でピンクレーサー・八神洋子役を演じ、高い人気を得た来栖あつこさん
《スーパー戦隊50年の歴史に幕》「時代に合ったヒーローがいればいい」来栖あつこが明かすイエローとの永遠の別れ、『激走戦隊カーレンジャー』ピンクレーサー役を熱演
NEWSポストセブン
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
《識者が“皇族の喫煙事情”に言及》「普段の生活でタバコを吸われる場合は…」秋篠宮さまの“車内モクモク”動画に飛び交う疑問
NEWSポストセブン
小室さん眞子さんのNY生活を支える人物が外務大臣表彰
《小室眞子さん“美術の仕事”の夢が再燃》元プリンセスの立場を生かせる部署も…“超ホワイト”なメトロポリタン美術館就職への道
NEWSポストセブン