登山家・著述家の服部文祥氏(左)と俳優の東出昌大氏が語り合った
クマによる人間の死亡事故が過去最多となった2025年、メディアやSNSでは「駆除すべき」という意見が溢れた。そんな世論に異を唱えるのが、登山家・著述家の服部文祥氏と俳優の東出昌大氏だ。ともに北関東の山奥に居を構え、狩猟においては“師弟関係”でもある2人が語り合った。
「ワイワイ騒いでるのは都会の連中」
服部:クマの話、気が乗らないんだよね。デッくん(東出)が取材を断っているのと同じ理由で。
東出:クマに関する報道って、結論ありきなんですよね。「クマ=怖い」という。だから、町の人のインタビューでも「怖いです」って言っている人のコメントしか使わない。2025年の漢字は「熊」になっちゃったけど、人間側が勝手に騒いでるだけだという感じするじゃないですか。
服部:ここ2、3年かな、それなりの教養のある連中からも「クマって怖いんでしょ?」って言われるぐらいマスコミにすり込まれちゃってる。実際、ほとんどの人がクマを見たことすらないのに。
東出:服部さん家の柿の木はトタンを巻いていますけど、ああするとクマは登らないんですか。
服部:登ってないね。
東出:うちも柿の木は切らずに残していて、クマが食いに来ないかなと思ってるんですけど来ないですね。
服部:熊がいるエリアの人たちは、例年よりは多いよねというのはあっても恐れおののいているわけではないよな。親族を亡くしたり、犬を殺されて悲しんでいる人もいるけど、やっぱりクマと一緒に生きていこうと思っている。これまでもそうしてきたし、今後も、そうするしかない。ワイワイ騒いでるのは都会の連中だもんな。「ゴジラが出た!」みたいなノリだろ。楽しんでるだけ。そんな人相手にクマの話をしても無駄。クマの話はいったい誰のために何をしているんだろうという気分になる。
東出:クマ問題は、誰に向かって、どういう意見を言えばいいのかというのが非常に難しいですよね。でも、メディアもそこまで深い議論は求めてないから、迂闊にしゃべっちゃうと、結局、おもしろがってる系の連中にあげ足を取られるだけになる。
