あれだけ反日運動が盛り上がっていたのに、突如として中国が外相会談に応じたのは対日強硬路線を修正するサインではないか。もしかすると、11月に北京で開かれるアジア太平洋経済協力会議(APEC)で日中首脳会談も開かれやしないか──そんな推測が韓国で高まっても、おかしくない展開なのだ。そうなれば、韓国にとって悪夢だ。東アジアで存在感を失い、面目丸つぶれになってしまうからだ。

 韓国は歴史的にみても地政学的にみても中国の顔色をうかがいながら生きてきた国である。中国の植民地として歴史を刻み、中国への貢物と引き換えに安定を得る冊封体制の下で国を治めてきた。そんなDNAがいま日中・日朝関係の進展を受けて、まざまざと蘇ってきているのではないか。韓国国内では、対日強硬路線一辺倒の朴政権に批判も出ている。

 そうだとすると、日本はどう動くべきか。答えは「放っておけばいい」。慰安婦問題は朝日新聞の誤報訂正や国内での元米軍慰安婦提訴を受けて、朴政権は守勢に回らざるをえない。強気に出れば出るほど墓穴を掘るだろう。新聞はとにかく「話し合い」を呼びかけるのが大好きだ。だが、ときには黙って様子見に徹するのも外交のうちである。(文中敬称略)

文■長谷川幸洋:東京新聞・中日新聞論説副主幹。1953年生まれ。ジョンズ・ホプキンス大学大学院卒。政府の規制改革会議委員。近著に『2020年新聞は生き残れるか』(講談社)。

※週刊ポスト2014年9月5日号

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