国内

安倍首相 邦人拘束事件で表に出ないのは何もできないためか

 内戦続くシリアの激戦地アレッポで、アル・カイーダ系の反政府武装組織「イスラム国」が日本人男性を拘束したという情報がヨルダンの日本大使館にもたらされたのは8月16日午後のことだった。

 インターネット上には拘束された湯川遥菜氏(42)が頭から血を流しながら尋問され、英語で「(自分は)写真家だ」などと名乗る映像が公開された。同氏はイスラム国と敵対する別の反政府武装組織・自由シリア軍と行動をともにしており、本稿執筆時点では生死は定かではない。

 外務省は17日未明に対策室を設置。被害者の実父である湯川正一氏(74)は「17日16時15分に外務省から電話で、映像を見て息子か確認してほしいと連絡が入りました」と語った。では事態が刻々と動く中で、安倍晋三首相は何をしていたか。

 第一報が入った16日は山中湖畔で秘書官らとゴルフ。別荘にそのまま帰り、翌17日も榊原定征・経団連会長、御手洗冨士夫キヤノン会長兼社長らとゴルフに興じ、プレーを切り上げることはなかった。

「ゴルフ場にいても事態は把握できるし指示も出せる」という言い訳は通らない。そうであれば、広島の土砂災害ではなぜわざわざプレーを切り上げて“迅速な対応”を見せたのか。

 言うまでもなく、自然災害の被害者の命は積極的に守るが、テロ組織に拘束された者はほったらかし、などという「命の軽重」を決めることは、権力者には許されない。

 初動だけではない。シリア邦人拘束事件について安倍首相はその後も別荘から「情報収集を指示」するばかりで、外務省とのやり取りも菅義偉・官房長官に任せきりだった。元レバノン大使の天木直人氏は安倍首相の対応を痛烈に批判する。

「現在の中東情勢は言葉で説明できないほど深刻な状況で、アメリカやイスラエルの情報機関でさえ情報収集がままならない。外務省は打つ手がなく、誰に接触していいかもわからない有り様です。つまり、安倍首相はこの問題で『自分が陣頭指揮を執っても何もできないからアピールにならない』と判断して表に出てこないのでしょう」

※週刊ポスト2014年9月5日号

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