ライフ

高齢者が仕事についているか否かは健康問題に直結すると医師

 人口減少と高齢化は、日本のもっとも大きな問題だと言われている。労働力確保のために、女性、高齢者、外国人にも働く機会を増やすよう政府は求めている。ベストセラー『がんばらない』著者で諏訪中央病院名誉院長の鎌田實氏が、高齢者が働く新しい形の例として「株式会社高齢社」を紹介する。

 * * *
「株式会社高齢社」という会社の最高顧問である上田研二さんに会った。テレビ東京の『カンブリア宮殿』などにも出演した、いま注目の経営者である。1938年生まれで重いパーキンソン病を患っているが、とにかく明るかった。

 上田さんは65歳以上の高齢者を対象にした人材派遣の会社「高齢社」を14年前に立ち上げている。高齢者の多くは、まだまだ元気で働きたいという意欲がある。しかし働く場がないという実情を知り設立を思い立った。

 高齢者の活用は産業界にとっても有効だ。着眼点がすばらしいし、それを実践できる行動力が、これまたすばらしい。

 上田さんは〈きょういく〉が大事だという。僕が「確かに教育は大事ですよね」と賛同すると、その教育ではない、と否定した。〈きょういく〉は「今日、行く」の意味で「今日、行く」ところがあることが高齢者にとって大事なのだと教えてくれた。

 また〈きょうよう〉も大事だと上田さん。これは「今日、用」があること。これがないと定年退職後は生きづらくなるという。

「退職後の半年は奥さんも、ご苦労様でしたね、と労ってくれるけれど、それを過ぎると邪魔者扱いされますよ。犬からも嫌われるんです」と笑う。僕は「犬からも?」と聞き返すと、こんな答えが返ってきた。

「用がないから日に何回も犬の散歩に出かけ、犬はそれに付き合わされて嫌になってしまうんです」

 これには僕も大笑い。

 20世紀の精神医学の巨人、フロイトは「働く場所があること」と「愛する人がいること」の2つがあれば、大概の人は生き抜けるといっている。

 その通りだ。

関連記事

トピックス

どんな役柄でも見事に演じきることで定評がある芳根京子(2020年、映画『記憶屋』のイベント)
《ヘソ出し白Tで颯爽と》女優・芳根京子、乃木坂46のライブをお忍び鑑賞 ファンを虜にした「ライブ中の一幕」
NEWSポストセブン
相川七瀬と次男の凛生君
《芸能界めざす息子への思い》「努力しないなら応援しない」離婚告白の相川七瀬がジュノンボーイ挑戦の次男に明かした「仕事がなかった」冬の時代
NEWSポストセブン
俳優の松田翔太、妻でモデルの秋元梢(右/時事通信フォト)
《松田龍平、翔太兄弟夫婦がタイでバカンス目撃撮》秋元梢が甥っ子を優しく見守り…ファミリーが交流した「初のフォーショット」
NEWSポストセブン
世界が驚嘆した大番狂わせ(写真/AFLO)
ラグビー日本代表「ブライトンの奇跡」から10年 名将エディー・ジョーンズが語る世界を驚かせた偉業と現状「リーチマイケルたちが取り戻した“日本の誇り”を引き継いでいく」
週刊ポスト
佳子さまを撮影した動画がXで話題になっている(時事通信フォト)
《即完売》佳子さま、着用した2750円イヤリングのメーカーが当日の「トータルコーディネート」に感激
NEWSポストセブン
国連大学50周年記念式典に出席された天皇皇后両陛下(2025年9月18日、撮影/JMPA)
《国連大学50周年記念式典》皇后雅子さまが見せられたマスタードイエローの“サステナブルファッション” 沖縄ご訪問や園遊会でお召しの一着をお選びに 
NEWSポストセブン
豪雨被害のため、M-1出場を断念した森智広市長 (左/時事通信フォト、右/読者提供)
《森智広市長 M-1出場断念の舞台裏》「商店街の道の下から水がゴボゴボと…」三重・四日市を襲った記録的豪雨で地下駐車場が水没、高級車ふくむ274台が被害
NEWSポストセブン
「決意のSNS投稿」をした滝川クリステル(時事通信フォト)
滝川クリステル「決意のSNS投稿」に見る“ファーストレディ”への準備 小泉進次郎氏の「誹謗中傷について規制を強化する考え」を後押しする覚悟か
週刊ポスト
アニメではカバオくんなど複数のキャラクターの声を担当する山寺宏一(写真提供/NHK)
【『あんぱん』最終回へ】「声優生活40年のご褒美」山寺宏一が“やなせ先生の恩師役”を演じて感じた、ジャムおじさんとして「新しい顔だよ」と言える喜び
週刊ポスト
林家ペーさんと林家パー子さんの自宅で火災が起きていることがわかった
《部屋はエアコンなしで扇風機が5台》「仏壇のろうそくに火をつけようとして燃え広がった」林家ぺー&パー子夫妻が火災が起きた自宅で“質素な暮らし”
NEWSポストセブン
1年ほど前に、会社役員を務める元夫と離婚していたことを明かした
《ロックシンガー・相川七瀬 年上夫との離婚明かす》個人事務所役員の年上夫との別居生活1年「家族でいるために」昨夏に自ら離婚届を提出
NEWSポストセブン
“高市潰し”を狙っているように思える動きも(時事通信フォト)
《前代未聞の自民党総裁選》公明党や野党も“露骨な介入”「高市早苗総裁では連立は組めない」と“拒否権”をちらつかせる異例の事態に
週刊ポスト