ビジネス

子が私立中狙う親にとっては宿題代行を利用するのが合理的か

 読書感想文1枚3000~8000円、絵画1枚4000円……高額な料金を払って宿題代行を依頼するのは子供ではなく親だ。議論は喧しいが、業者に丸投げしてそのまま提出することについては案の定、多くの識者が批判的である。

 反復学習法「百ます計算」の開発者として知られる立命館小学校校長顧問の陰山英男氏はこう語る。

「代行に頼むことで子供がズルをすることに鈍感になる。お金を払えば努力しなくても目的が達成されるという誤解を子供に植え付けてしまう。そのような悪影響を親が理解していないのでしょう。彼らは子供が宿題をやらなかったことで問われる『親の責任』が怖いのです。子供のためではなく自分の責任逃れのために代行業者に頼んでいるといえます」

 親にとって夏休みの宿題は自分の問題でもある。「子供とおでかけ情報サイト」を運営するアクトインディが今年、〈夏休みの宿題実態調査〉を行なった。その結果、全体の8割以上の親が〈子供の宿題を手伝っている〉と回答した。

 特に小学生の場合は「子供が受験勉強に集中できるように」と宿題を手伝っている親が少なくない。そうであれば、代行を頼まなくても子供にズルをさせ、それを正しいことと認めている点では同じだ。

 受験勉強と宿題代行の関係について、「ヤンキー先生」こと義家弘介・代議士はこう説明する。

「今の小学生の親は受験に勝つことを重視し、子供の頃から塾に通い詰めてきた世代。“結果至上主義”がはびこっている世代といえます。子供を私立中学に入れたいと思っている親にとってメインは塾の勉強であり、学校の勉強はサブ。夏は受験対策に長い時間を割ける機会だから、受験に直接関係ない自由研究などの宿題は、代行に出すのが合理的と思っているのでしょう。もちろん間違った考えなのはいうまでもありません」

※週刊ポスト2014年9月19・26日号

関連キーワード

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン