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中国では客が残した肉を次の客に使い回し 「よだれ肉」と呼ぶ

 上海では7月、上海福喜食品が使用期限切れの肉を加工食品に使っていた事実が発覚。同社はマクドナルドやケンタッキーフライドチキンにそれらの食品を卸しており、大問題になったことは記憶に新しいが、「こんなのは中国ではざらだ」と北京の中国人ジャーナリストは軽く笑う。

 今年に入ってから、中国の牛乳メーカー大手の「蒙牛」は製造日が「2月30日」という、ありもしない日にちのパック入り牛乳を販売し批判を浴びた。最近では灰と墨汁で作ったラーメンや、ロウソクの蝋で磨いた果物や亜硫酸漬けの桃、羊肉の代わりにネズミの肉を使ったシシカバブが売られていたことが分かり、中国全土に衝撃が走った。

 四川省政府農業庁は7月下旬、ホームページで、寄生虫の一種で、長さが1mm程度の嚢虫(有鉤条虫)がびっしりと付いた豚肉が流通していると注意を呼びかけた。その肉を食べると、嚢虫が血液を通って脳にたどり着き脳腫瘍のような塊になる脳嚢虫症を起こす危険性が高い。

 北京では7月下旬、焼き肉店をチェーン展開している北京漢麗軒で、客が残した肉や野菜などを次の客に使い回ししていたとして、北京市当局が営業停止処分を下した。同社は北京市内に28店舗、地方に180以上の店舗を擁している大企業だ。北京のメディアはこれらの肉を「よだれ肉」と呼んで大きく伝えた。

 筆者の例で恐縮だが、北京最大の繁華街の王府井にある、中国各地の名物料理を集めたフードモールで、四川料理の担々麺を頼んだことがある。出てきたのは、真っ赤っかな色のスープの中に、うどんのように太い麺が浮かんでいる代物だった。

 担々麺特有のひき肉は入っておらず、どんぶりの下に沈んでいるのかなと思いつつ食べたが、それらしいものは入っておらず何の味もしない。麺も噛み応えがない。「変だ」と直感して、二口三口食べただけで止めた。その日の夜、ひどい下痢に悩まされた。何か劇薬でも入っていたのだろうか。それ以後、筆者はフードモールや屋台には近づいていない。

 中国政府の統計によると、中国の裁判所が昨年1年間で受理した食品の安全を脅かす事例は合計2366件で史上最高を記録。専門誌「中国食品安全」は、中国では毎年9400万人が食中毒にかかり、約8500人が死亡しているとのデータを明らかにしている。

文■相馬勝

※SAPIO2014年10月号

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