投資情報会社・フィスコ(担当・小瀬正毅氏)が、10月6日~10月10日のドル・円相場の見通しを解説する。
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今週のドル・円は、日本銀行金融政策決定会合、G-20財務相・中央銀行総裁会議、国際通貨金融委員会(IMFC)などのイベント、地政学的リスク(ウクライナ、中東、香港)などに警戒する展開となる。年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)による外貨建て資産への投資増額期待は維持されており、ドルの下値は限定的だと予想される。
【日本銀行金融政策決定会合】(6-7日)
日本のインフレ率の低迷、景況感の悪化を受けて、日本銀行に対する追加緩和圧力が強まりつつある。しかしながら、急激な円安を受けて、日本銀行の追加緩和は当面見送られるとの見方もあり、黒田東彦日銀総裁の会見に注目することになる。
【連邦公開市場委員会(FOMC)議事録】(8日)
9月の連邦公開市場委員会(FOMC)では、10月のFOMCでの量的緩和第3弾の終了が決定されたものの、利上げまでの時間軸「相当の期間(considerable time)」は残された。9月のFOMC議事録で、出口戦略に関する協議を見極めることになる。
【地政学的リスク】
ウクライナ情勢では、ウクライナ政府と親ロシア派分離主義者武装勢力が停戦で合意したものの、依然として戦闘が続いており、欧米によるロシアへの懲罰的制裁、ロシアによる資産凍結という報復措置を受けて、予断を許さない状況が続く。
中東情勢では、欧米諸国と中東の有志連合がイスラム国への空爆を断行していることで、地政学的リスクによるドル売り要因となる。香港情勢では、欧米と中国の対立に要警戒か。
【G-20財務相・中央銀行総裁会議&国際通貨金融委員会(IMFC)】
安倍トレード(日本株買い・円売り)第一幕の幕開けは、2012年11月の安倍総裁と野田首相の党首討論だったが、その前の国際通貨金融委員会(IMFC)で、日本の景気回復のための円安が容認されたことが、序曲となっていた。G-20財務相・中央銀行総裁会議(9-10日)、IMFCでの急激な円安に対する対応に注目することになる。
10月6日~10日に発表予定の主要経済指標のポイントは次の通り。