スポーツ

稲葉篤紀 ヤクルト監督待望論消えた背景に古巣の「学閥力学」

 引退試合は「1人でも多くのファンに勇姿を見てもらうために」(球団関係者)異例の2日開催。引退記念グッズは10万円以上する高額商品が次々売り切れ、背番号「41」は準永久欠番となった。北海道日本ハムファイターズから今年引退した稲葉篤紀が、いかに日ハムファンに愛されていたかがわかる。

 チャンス時に稲葉に打席が回ると、観客が飛び跳ねる「稲葉ジャンプ」はすっかり定着したが、これも稲葉に敬意を表してしばらくは封印されるという。2004年のオフ、メジャー挑戦を目指してFA宣言するがどこからもオファーがなく、日本ハムに拾ってもらった時には、まさかここまで札幌のファンに受け入れられるとは思っていなかっただろう。

 今や「日本ハムの人」の印象が強くなっているが、稲葉は日本ハムの生え抜きではない。かつてはヤクルトの主力だった選手である。現役19年間のうち、10年がヤクルトでのプレー。この間には野村克也監督の下、黄金時代のメンバーとして活躍している。

 実は稲葉が引退するにあたり、古巣への復帰の声も出ていた。

「今季限りでの退任が決まっていた小川淳司監督の後任候補に名前が挙がっていました。ヤクルト時代の稲葉のファンは少なくないし、関係者の間で待望論が高まった。本人も“できれば戻りたい”といっていたと聞いています」(ヤクルト球団関係者)

 前回のWBCではベテランと若手のパイプ役となるなど、球団の垣根を越えて選手からの信頼が厚い。高い人気に加えて慕われる人柄、さらに黄金時代の選手の復帰と話題性もある。2季連続で最下位に沈んだチームのテコ入れにはもってこいだった。

 だがヤクルト人事は、あっさりと決まってしまった。稲葉の1歳年長でかつて共に外野を守った真中満・一軍打撃チーフコーチの昇格である。雄平、山田哲人、川崎成晃といった、今売り出し中の若手選手を育てた実績が認められたものだが、これはあくまで表向きの理由だという。

「決め手になったのは日大出身であること。ヤクルトの衣笠剛・球団社長(オーナー代行兼任)の後輩にあたる。結局は学閥人事だったといわれています(稲葉は法大卒)。球界の人事は学閥がモノをいうことが多い。かつて楽天の一場靖弘(明大卒)がトレードに出された際、当時の野村監督が『今のヤクルトは明大閥だから(当時は明大出身の高田繁監督だった)、かわいがってもらえるやろ』といったのは有名な話です」(ヤクルト担当記者)

 小久保ジャパン(日本代表)の打撃コーチに就任することが決まった稲葉。将来の監督就任は確実視されているが、その本拠地は札幌か、神宮か。

※週刊ポスト2014年10月17日号

関連記事

トピックス

昭和館を訪問された天皇皇后両陛下と長女・愛子さま(2025年12月21日、撮影/JMPA)
天皇ご一家が戦後80年写真展へ 哀悼のお気持ちが伝わるグレーのリンクコーデ 愛子さまのジャケット着回しに「参考になる」の声も
NEWSポストセブン
訃報が報じられた、“ジャンボ尾崎”こと尾崎将司さん(時事通信フォト)
《ジャンボ尾崎さん死去》伝説の“習志野ホワイトハウス豪邸”にランボルギーニ、名刀18振り、“ゴルフ界のスター”が貫いた規格外の美学
NEWSポストセブン
西東京の「親子4人死亡事件」に新展開が──(時事通信フォト)
《西東京市・親子4人心中》「奥さんは茶髪っぽい方で、美人なお母さん」「12月から配達が止まっていた」母親名義マンションのクローゼットから別の遺体……ナゾ深まる“だんらん家族”を襲った悲劇
NEWSポストセブン
シーズンオフを家族で過ごしている大谷翔平(左・時事通信フォト)
《お揃いのグラサンコーデ》大谷翔平と真美子さんがハワイで“ペアルックファミリーデート”、目撃者がSNS投稿「コーヒーを買ってたら…」
NEWSポストセブン
愛子さまのドレスアップ姿が話題に(共同通信社)
《天皇家のクリスマスコーデ》愛子さまがバレエ鑑賞で“圧巻のドレスアップ姿”披露、赤色のリンクコーデに表れた「ご家族のあたたかな絆」
NEWSポストセブン
1年時に8区の区間新記録を叩き出した大塚正美選手は、翌年は“花の2区”を走ると予想されていたが……(写真は1983年第59回大会で2区を走った大塚選手)
箱根駅伝で古豪・日体大を支えた名ランナー「大塚正美伝説」〈3〉元祖“山の大魔神”の記録に挑む5区への出走は「自ら志願した」
週刊ポスト
12月中旬にSNSで拡散された、秋篠宮さまのお姿を捉えた動画が波紋を広げている(時事通信フォト)
〈タバコに似ているとの声〉宮内庁が加湿器と回答したのに…秋篠宮さま“車内モクモク”騒動に相次ぐ指摘 ご一家で「体調不良」続いて“厳重な対策”か
硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将(写真/AFLO)
《戦後80年特別企画》軍事・歴史のプロ16人が評価した旧日本軍「最高の軍人」ランキング 1位に選出されたのは硫黄島守備隊指揮官の栗林忠道・陸軍大将
週刊ポスト
米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン