そもそも論ですが、村上春樹はノーベル賞を欲しいと思っているのかという件が、私は大変に気になっています。もちろん、彼に聞いてみなければわかりませんけどね。初期〜00年くらいまでの作品のファンとしては、このような賞に関してどこかさめていて欲しいと思ったりもするわけです。もっとも、彼はデビュー作を始め、国内外で(最近では特に国外で)たくさんの賞をとっているわけですが。
そんなさめた意見を言う私ですが、とはいえ、とってほしいなと思う気持ちもあります。それは、彼の作品が認められたとか、日本人が受賞したとか、出版業界が活性化するとか、そういうことをこえて、「ノーベル文学賞を受賞した村上春樹が、世界に対して何を言うのか」という興味関心からです。2009年のエルサレム賞授賞式での壁と卵のメタファーのスピーチはあまりに有名です。ノーベル賞受賞ということをこえて、晴れの舞台で世界に対して村上春樹が何を言うのか。そういう興味ならあります。
村上春樹はまだ65歳。いや、もう65歳とも言えますが。まだまだチャンスはあります。「村上春樹はノーベル文学賞をとるのか」問題はいつも違和感を抱きつつ、彼の世界に対するスピーチをまた聞きたいと思うのでした。まずは、ずっと積ん読になっている『海辺のカフカ』を読むことにします。はい。