国際情報

落合氏「移民受け入れで仏は古き美しい町並み失いつつある」

 8月にイタリア、フランス、オーストリアに2週間ほど滞在した作家の落合信彦氏は、ヨーロッパの危機的な状況に直面したという。国と国との関係を飛び越え、境界線までもなくそうとした結果、治安は悪化し、無職の人間が政府におんぶにだっこ、そして稼がない国が、稼ぐドイツやフランスに頼るという現象が各国で起きている。その背景には移民を受け入れたことによる弊害もあるという。

 * * *
 EUの劣化は、一つの現実を我々に突きつけている。移民の受け入れは国家を滅ぼしかねないということだ。

 イタリアではいま、シリアをはじめとするアラブ世界から一日6万人とも言われる大量の移民が入ってきている。イタリア人はそのことに不満を抱えているが、イタリア政府は聞く耳を持たず、彼らを受け入れ続けている。移民の受け入れによって、EUから多額の補助金がもらえるからだ。

 就職についても移民が優先されるため、アラブ系や黒人、中国人ばかりが職に恵まれ、生粋のイタリア人が職にあぶれるという本末転倒の事態が起きている。フランスでも、シャルル・ドゴール空港の職員はマイノリティーばかりだった。空港が移民を優先して雇っているからだ。

 職を奪われるだけではない。移民の受け入れはその国の文化をも壊す。フランスに、バルビゾンという19世紀の画家ミレーが住んでいた古い町がある。ミレーが代表作「種まく人」に描いたような美しい田園風景がいまなお広がるこの町へは、パリの中心部から南へ1時間ほど車に乗れば着く。ところが、このバルビゾンへ向かう高速道路の壁には、いつの間にか、延々とアメリカのスラム街のような落書きが増えていたのだ。芸術とはおよそかけ離れた、ただの落書きである。

 移民を受け入れることで、フランスは徐々に古き美しい町並みを失いつつある。

※SAPIO2014年11月号

関連キーワード

関連記事

トピックス

近年ゲッソリと痩せていた様子がパパラッチされていたジャスティン・ビーバー(Guerin Charles/ABACA/共同通信イメージズ)
《その服どこで買ったの?》衝撃チェンジ姿のジャスティン・ビーバー(31)が“眼球バキバキTシャツ”披露でファン困惑 裁判決着の前後で「ヒゲを剃る」発言も
NEWSポストセブン
2025年10月末、秋田県内のJR線路で寝ていた子グマ。この後、轢かれてペシャンコになってしまった(住民撮影)
《線路で子グマがスヤスヤ…数時間後にペシャンコに》県民が語る熊対策で自衛隊派遣の秋田の“実情”「『命がけでとったクリ』を売る女性も」
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
文化勲章受章者を招く茶会が皇居宮殿で開催 天皇皇后両陛下は王貞治氏と野球の話題で交流、愛子さまと佳子さまは野沢雅子氏に興味津々 
女性セブン
各地でクマの被害が相次いでいる(右は2023年に秋田県でクマに襲われた男性)
「夫は体の原型がわからなくなるまで食い荒らされていた」空腹のヒグマが喰った夫、赤ん坊、雇い人…「異常に膨らんだ熊の胃から発見された内容物」
NEWSポストセブン
雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA
【天皇陛下とトランプ大統領の会見の裏で…】一部の記者が大統領専用車『ビースト』と自撮り、アメリカ側激怒であわや外交問題 宮内庁と外務省の連携ミスを指摘する声も 
女性セブン
相次ぐクマ被害のために、映画ロケが中止に…(左/時事通信フォト、右/インスタグラムより)
《BE:FIRST脱退の三山凌輝》出演予定のクマ被害テーマ「ネトフリ」作品、“現状”を鑑みて撮影延期か…復帰作が大ピンチに
NEWSポストセブン
名古屋事件
【名古屋主婦殺害】長らく“未解決”として扱われてきた事件の大きな転機となった「丸刈り刑事」の登場 針を通すような緻密な捜査でたどり着いた「ソフトテニス部の名簿」 
女性セブン
今年の6月に不倫が報じられた錦織圭(AFP時事)
《世界ランキング急落》プロテニス・錦織圭、“下部大会”からの再出発する背景に不倫騒と選手生命の危機
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(左/時事通信フォト)
《空腹でもないのに、ただただ人を襲い続けた》“モンスターベア”は捕獲して山へ帰してもまた戻ってくる…止めどない「熊害」の恐怖「顔面の半分を潰され、片目がボロり」
NEWSポストセブン
カニエの元妻で実業家のキム・カーダシアン(EPA=時事)
《金ピカパンツで空港に到着》カニエ・ウエストの妻が「ファッションを超える」アパレルブランド設立、現地報道は「元妻の“攻めすぎ下着”に勝負を挑む可能性」を示唆
NEWSポストセブン
大谷翔平と真美子さんの胸キュンワンシーンが話題に(共同通信社)
《真美子さんがウインク》大谷翔平が参加した優勝パレード、舞台裏でカメラマンが目撃していた「仲良し夫婦」のキュンキュンやりとり
NEWSポストセブン
兵庫県宝塚市で親族4人がボーガンで殺傷された事件の発生時、現場周辺は騒然とした(共同通信)
「子どもの頃は1人だった…」「嫌いなのは母」クロスボウ家族殺害の野津英滉被告(28)が心理検査で見せた“家族への執着”、被害者の弟に漏らした「悪かった」の言葉
NEWSポストセブン