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「青二才の鯛」扱いの魚 鯛と一緒に売る魚屋を小1女児非難

 磯際を深めに探ると食ってくるニザダイは青二才の鯛(鯛の端くれ)という意味らしいが、姿形がカワハギに似て皮も同じように剥げることからオキハゲ、カッパハゲ、クロハゲと呼ぶ地方も。釣り人たちのあいだでは標準和名のニザダイよりも通りがいいサンノジ(三の字)という名前は、尾ビレの付け根にある突起のうち三つが目立つことからのネーミング。この突起には鋭い棘があるので持つ際には注意が必要だ。

 以前、とある鮮魚店でマダイやチダイといっしょに、いかにもタイの仲間みたいに売られていたことがあった。ニザの字がやけに小さく、ダイの字が大きく書かれていたような気がする。

 それを見て小学1年生だったわが娘が「これってサンノジでしょ、タイじゃないよね」と大声で指さしたものだから、ちょうどニザダイを客に勧めていた店主は大慌て。私のほうも大慌て。釣り師の娘は魚には滅法詳しいのである。

 関東では擬人化してサンコウ(三公)、四国ではサンタ(三太)などとも呼ぶ。ババタレと呼ばれるイスズミよりましだが、この魚も招かれざる客である。

 いつだったか、12月に愛媛県の磯へ釣行したときも磯の周辺はサンタまみれで、地元の釣り人たちは「クリスマスが近いけん、サンタもようけおるんよ」とぼやいていた。最初の引きは強烈。良型のシマアジが掛かったかと思うほどだが、最後は意外と素直に浮く。

 ニザダイもイスズミによく似た腐ったセロリの匂い(?)がするせいか、食べる人はあまりいない。ちなみに尾ビレの付け根に二つの突起を持つゴマテングハギモドキはニノジ、突起が一つしかないニセカンランハギはイチノジとも呼ばれている。ニノジとイチノジはサンノジより美味とされるが、独特な臭みは同じらしい。

文■高木道郎(たかぎ・みちろう):1953年生まれ。フリーライターとして、釣り雑誌や単行本などの出版に携わる。北海道から沖縄、海外へも釣行。主な著書に『防波堤釣り入門』(池田書店)、『磯釣りをはじめよう』(山海堂)、『高木道郎のウキフカセ釣り入門』(主婦と生活社)など多数。

※週刊ポスト2014年11月14日号

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