「ここ数年で、オイルへの評価は大きく変わったと思います」と話すのは、ライフスタイルジャーナリストの吉野ユリ子氏だ。
「さまざまな効果が知られるようになったのはもちろんですが、震災以降、オイルに限らず“素材”に対する消費者の意識は高まっていて、食事のベースになるオイルにも自然と目が向くようになったと考えられます。目に見えないものへの関心が高まり、素材の良いもの、そして加工されたものよりはナチュラルなもの、原始的なものを求める傾向は強くなっています」
それからもう一点、食事のあり方の変化も指摘する。
「最近、“うちごはん”や“家めし”が流行るなど、家で料理をする人が増えています。せっかく家で料理するなら、やはり素材にこだわろうと考える。オイルにこだわると価格は上がりますが、それでも外食するよりは安い。かつてはサラダ油が主流だった家庭にも、ゴマ油とオリーブオイルを併用するなど、多様化が進んでいますね。いまはレシピサイトも豊富で、ちょっと珍しいオイルでも、レシピがすぐに入手できます。使い方が簡単にわかるという便利さが、家庭で使用するオイルの種類を増やしてもいると考えられます」
だがよく言われるように油には「見える油」と「見えない油」があり、食用油は「見える油」。日本人は、肉や魚、乳製品など食物そのものに含まれる「見えない油」からの油の摂取が、実は7割以上を占める。それも忘れず、種類が豊富になった油を賢く美味しく摂取したい。