国内

日米通算182勝 石井一久氏の案外したたかな一面が描かれる書

【書籍紹介】『ゆるキャラのすすめ。』石井一久/幻冬舎/1300円+税

 現在『すぽると!』(フジテレビ系)の解説者やレポーターとして活躍中の著者が、自身の哲学と人生観を淡々と述べる書。タイトルにもなっている「ゆるキャラ」は、石井氏のそのほんわかした雰囲気と捉えどころのないゆるさを表す。

 だからといって、侮ってはいけない。石井氏は日米通算182勝をあげた名投手であり、ゆるくしていることも戦略の一つなのである。曰く「人間が本来持っている『サボりたい』『休みたい』という気持ちを無理に抑えつけることはないのだと思う」とあり、身体がしんどい時は「もう無理です」と言うべきだと説く。

 本書では、石井氏のこうしたゆるい生き方だからこそ無駄に頑張らず、結果的に成功する生き方が綴られている。ただし、騙されてはいけないのは、昨年発売された石井氏の元同僚・宮本慎也氏の『歩』にも共通するのだが、「自分は一流ではないが……」といった雰囲気を常に醸し出す点である。「確かにイチローでもなければ、王貞治でもないからな」と思いつつも、冷静になるとプロ野球で長きに渡って第一線で活躍してきた人物である。一流であるに決まっているではないか!

 だからこそ石井氏の醸し出す「ゆるさ」に騙されてはいけない。書籍の中にもあったが、石井氏がこれまでに買った自動車や家は、売りに出す時、ほとんど同じ価格か購入時よりも高く売れているというのだ! ぼんやりしているように見せて、実はしっかりしている……。「ゆるキャラ」に見せておいて中身はしたたか――そんな生き方を学ばせてくれる。

 最後に石井氏からもらったコメントを。

「何を考えるかわからないヤツ、とまわりに思われてるのはラクですよ」

「編集の方は『石井さん独特のマイルールや物事の見方は、ストレスフリーな生き方のヒントに溢れていて、ユニークな自己啓発書としても読み解ける』なんて言ってましたけど、自分ではよくわかりません」

関連記事

トピックス

憔悴した様子の永野芽郁
《憔悴の近影》永野芽郁、頬がこけ、目元を腫らして…移動時には“厳戒態勢”「事務所車までダッシュ」【田中圭との不倫報道】
NEWSポストセブン
現行犯逮捕された戸田容疑者と、血痕が残っていた犯行直後の現場(左・時事通信社)
【東大前駅・無差別殺人未遂】「この辺りはみんなエリート。ご近所の親は大学教授、子供は旧帝大…」“教育虐待”訴える戸田佳孝容疑者(43)が育った“インテリ住宅街”
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
【エッセイ連載再開】元フジテレビアナ・渡邊渚さんが綴る近況「目に見えない恐怖と戦う日々」「夢と現実の区別がつかなくなる」
NEWSポストセブン
大阪・関西万博を訪問された愛子さま(2025年5月8日、撮影/JMPA)
《初の万博ご視察》愛子さま、親しみやすさとフォーマルをミックスしたホワイトコーデ
NEWSポストセブン
『続・続・最後から二番目の恋』が放送中
ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』も大好評 いつまでのその言動に注目が集まる小泉今日子のカッコよさ
女性セブン
事務所独立と妊娠を発表した中川翔子。
【独占・中川翔子】妊娠・独立発表後初インタビュー 今の本音を直撃! そして“整形疑惑”も出た「最近やめた2つのこと」
NEWSポストセブン
名物企画ENT座談会を開催(左から中畑清氏、江本孟紀氏、達川光男氏/撮影=山崎力夫)
【江本孟紀氏×中畑清氏×達川光男氏】解説者3人が阿部巨人の課題を指摘「マー君は二軍で当然」「二軍の年俸が10億円」「マルティネスは明らかに練習不足」
週刊ポスト
田中圭
《田中圭が永野芽郁を招き入れた“別宅”》奥さんや子どもに迷惑かけられない…深酒後は元タレント妻に配慮して自宅回避の“家庭事情”
NEWSポストセブン
ニセコアンヌプリは世界的なスキー場のある山としても知られている(時事通信フォト)
《じわじわ広がる中国バブル崩壊》建設費用踏み倒し、訪日観光客大量キャンセルに「泣くしかない」人たち「日本の話なんかどうでもいいと言われて唖然とした」
NEWSポストセブン
ラッパーとして活動する時期も(YouTubeより。現在は削除済み)
《川崎ストーカー死体遺棄事件》警察の対応に高まる批判 Googleマップに「臨港クズ警察署」、署の前で抗議の声があがり、機動隊が待機する事態に
NEWSポストセブン
北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン