今年秋、『iPhone』の最新型を日本で買い漁る中国人の姿が多数報じられた。彼らのなかには、観光客を装った転売目的のバイヤー(転売ヤー)が大量に紛れ込んでいる。
中国人による転売ブームの中で、今もっとも注目されているのが「和牛」だという。転売ビジネスを手掛ける中国人ブローカーが語る。
「和牛に至っては、税関に見つかっても没収されるだけなのでリスクが低く、専門の運び屋までいるほどの人気です。肉は鮮度が命なので飛行機のビジネスクラスなどに乗って運ぶ。運び屋の報酬は1回7万~10万円程度。ビジネスクラスを使うのは、無料で預けられる手荷物の量が増えるから。中国では神戸牛が人気で、日本でA4ランクの肉がA5ランクに格上げされ販売されることもある。かなり怪しいビジネスとなっています」
もはやここまで来れば転売どころか”密輸”と呼ぶべきだろうが、日本の商品を運ぶあらゆる手段、ルートが確立されていることがよくわかる。
ちなみに現在、中国人バイヤーに人気なのは、キヤノンやソニーなど日本を代表するブランドのデジカメや高級炊飯器、魔法瓶に電気シェーバーなど。また近ごろは、大気汚染によって空気清浄機などの需要も拡大しているそうだ。
※SAPIO2015年1月号