けれども、出産・育児と仕事の両立に不安を抱えているのは、女性だけではありません。実は、会社も悩んでいるのです。
産休・育休中の代わりの人材を探さなければならないからです。妊娠に気づくのは、妊娠2~3か月というのが一般的です。となると、産前休業までの猶予は半年程度。派遣社員や契約社員でカバーできればよいですが、仕事内容によっては社内の人事異動で補わなければならないとなると、準備期間があまりにも短すぎるのです。
そのため、会社としては、妊娠の可能性を「早く知りたい」、出産は「計画的にして欲しい」というのが本音。
「『子供はいつごろ?』なんて聞いたら、セクハラと訴えられるのではないか」
と、女性の妊娠計画を聞くに聞けずに、ヒヤヒヤしている男性上司も多いのではないでしょうか。
女性は女性で、マタハラを恐れるあまり、「妊活」を隠したり、妊娠報告を先延ばしにしがちです。これでは、「急に言われても困る」と、女性と会社のミゾは広がるばかり。
「産休・育休をスムーズにとってもらうため」と、女性側に情報収集の目的をはっきりと伝えること。そして、それが建前でなく本音なのであれば、女性に妊娠の予定を聞くことはセクハラにはあたりません。
ただし、最初の一言が肝心です。中には、不妊に悩む夫婦もいます。「子供はいつごろ」という言葉はとても傷つきます。
まずは、「出産の予定について、聞いてもいいかな」と、質問。話すか話さないかの選択肢を女性に与えるのがポイントです。
もし、口ごもったり、嫌な顔をされたら、「プライベートなことに立ち入って、ごめんね」と謝る。「妊娠したら、すぐ言ってね」と、女性が産休・育休を気持ちよく取れるように、一緒に考えるという姿勢が示すことが大事。セクハラと訴えられることへの予防にもつながります。
働きがいだけでなく、金銭面でも共働きが当たり前の世の中です。
男女問わず、「定時で帰れる管理職」や「責任ある仕事につけるパートタイマー」を増やすといった大胆な施策がなければ、家庭と仕事が「両立しづらい」から「両立しやすい」へと、女性が持つ管理職のイメージアップを図ることはできません。ましてや、出生率アップは夢のまた夢です。